人間の心理には、不思議な現象が多数存在します。
実際は怪我をしていないのに思い込みで死んでしまったり、誘拐犯を好きになってしまったりなど、不思議な心理効果が人間には働きます。
ここでは、そんな興味深い人間の心理現象をまとめています。
目次
- 1 ブアメードの血
- 2 マーフィーの法則
- 3 バーナム効果
- 4 ハロー効果
- 5 部分強化
- 6 フットインザドアテクニック
- 7 ドアインザフェイステクニック
- 8 ジャネーの法則
- 9 カリギュラ効果
- 10 割れ窓理論
- 11 AIDMAの法則
- 12 エメットの法則
- 13 バンドワゴン効果
- 14 パーキンソンの法則
- 15 ピグマリオン効果
- 16 メラビアンの法則
- 17 ボッサードの法則
- 18 吊り橋効果
- 19 ピークエンドの法則
- 20 ラベリング理論
- 21 ジェームズランゲ説
- 22 ゲシュタルト崩壊
- 23 ゲインロス効果
- 24 コンコルド効果
- 25 リスキーシフト
- 26 ツァイガルニク効果
- 27 ミラーリング
- 28 カラーバス効果
- 29 アンカリング効果
- 30 返報性の原理
- 31 生存者バイアス
- 32 アンダーマイニング効果
- 33 ダニングクルーガー効果
- 34 タナトフォビア
- 35 ストライサンド効果
- 36 カクテルパーティ効果
- 37 偽の合意効果
- 38 認知的不協和
- 39 パブロフの犬
- 40 確証バイアス
ブアメードの血
ブアメードの血とは、1883年にオランダで行われた医療実験を元に生まれた、人は思い込みによって、人は実際に怪我をしていなくても、死に至る場合があるという現象です。
目隠しをした囚人の足にメスを入れたフリをし、致死量に相当する血が流れたという嘘を伝えると、本当に囚人は死んでしまったという実験です。
マーフィーの法則
マーフィーの法則は、失敗すると予想したり、悪いことを考えたりすると、必ずその通りになってしまうように感じるという心理現象です。
人は不幸な出来事を強く印象に残すため、このように感じます。
急いでいる日に限って電車が遅れるように感じるのはマーフィーの法則によるものです。
バーナム効果
バーナム効果とは、誰にでも当てはまるような一般的な性格を表す文章を、自分にだけ当てはまるものだと錯覚してしまう心理現象です。
例えば、占い師が「あなたは自分の興味の無いことには、なかなかやる気が出ません」といった場合、見事に自分の性格を言い当てられたと感じてしまいます。
しかし、実は興味の無いことにやる気が出ないのは誰にでも当てはまる内容であり、占い師はあなたの性格を見抜いた訳ではありません。
ハロー効果
ハロー効果とは、ある対象を評価する際、その対象が持つ別の特徴に引きずられて、他の特徴についての評価が歪められる心理現象です。
例えば、同じ発言をしていても、人気者が言うと周りの人が笑いますが、嫌われ者が言うと誰も反応しないような場合、ハロー効果の影響を受けていると言えます。
部分強化
部分強化とは、ある行動に毎回ご褒美を与えるよりも、たまに与えた方が、人は何度もその行動を続けるようになるという心理学の現象です。
いつもうまくいくことよりも、時々成功することのほうが熱中しやすいという経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
人がギャンブルにハマるのは、まさに部分強化によるものだと言えます。
フットインザドアテクニック
フットインザドアテクニックとは、依頼や交渉の際、相手が承諾しやすい要求から始めて、徐々に要求を大きくしていくことで、本来の要求を飲ませやすくするという心理学のテクニックです。
道端でいきなり「お金を貸してください」と言った時よりも、「今何時ですか?」と聞いた後に「お金を貸してください」と頼んだ時の方が、お金を貸して貰える確率が上昇したという実験結果もあります。
ドアインザフェイステクニック
ドアインザフェイステクニックとは、依頼や交渉の際、最初に断られる前提で大きな要求を仕掛けて、その上で本当の目的だった小さな要求を通すという心理学のテクニックです。
道端でいきなり「献血に協力してください」と言った場合よりも、「今後2年間にわたって半年ごとに献血をしてください」と頼んで断られてから「献血に協力してください」と言った場合の方が、献血に協力してくれる確率が大きく上昇したという実験があります。
ジャネーの法則
ジャネーの法則とは、フランスの心理学者ポール・ジャネが提唱した、年月の長さは年少者にはより長く、年長者にはより短く感じられるという法則です。
子供の頃の1年は長かったが、大人になってからの1年はあっという間に感じたという経験がある人も多いのではないでしょうか。
カリギュラ効果
カリギュラ効果とは、人間は物事を禁止されると逆にやりたくなってしまうという心理学の現象です。
アメリカとイタリアの合作映画である『カリギュラ』の内容があまりに過激であったため、一部地域で公開禁止になったことで、かえって世間の話題になったことから由来します。
スマホや人の秘密など、「見ちゃダメ」と言われたものほど見たくなってしまう経験は誰にでもあるでしょう。
割れ窓理論
割れ窓理論とは、軽微な犯罪を取り締まることで、凶悪犯罪も抑止できるという犯罪心理学上の現象です。
ブロークン・ウィンドウ理論とも呼ばれます。
建物の窓が壊れている状態を放置すると、その町の犯罪率が上昇してしまったという研究結果に基づきます。
AIDMAの法則
AIDMAの法則とは、アメリカの作家サミュエル・ローランド・ホールによる、広告に対する消費者の心理プロセスを示した法則です。
注意のA(Attention)、関心のI(Interest)、欲求のD(Desire)、記憶のM(Memory)、行動のA(Action)のそれぞれの頭文字からこの名前が付いています。
消費者がある商品を購入するためにはまず、Aで知ってもらい、次にIで関心を持ってもらう、そして、Dで欲しいと思ってもらい、さらに、Mで記憶してもらう、最後にAで実際に行動してもらうというプロセスを経ることが必要だということを示しています。
エメットの法則
エメットの法則とは、リタ・エメットの著書である『いま、やろうと思っていたのに…』で紹介された、ビジネス心理学における法則です。
仕事を先延ばしにすることは、すぐにその仕事に取り組む場合よりも、倍の時間とエネルギーを要するとしています。
バンドワゴン効果
バンドワゴン効果とは、ある物事が多数に受け入れられている、流行っているという情報が流れることで、その物事への支持がより強くなる、という心理学的な効果です。
元は興味の無かったタピオカでも、ブームになって皆が行列に並んでいると、なんだか自分も飲みたくなってしまったという場合、バンドワゴン効果の影響を受けていると言えます。
パーキンソンの法則
パーキンソンの法則とは、イギリスの歴史学者シリル・パーキンソンによって提唱された、2つの法則です。
第1法則は、仕事の量は完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する、というものです。
第2法則は「支出の額は、収入の額に達するまで膨張する」というものです。
ピグマリオン効果
ピグマリオン効果とは、教師の期待によって学習者の成績が向上するという教育心理学の効果です。
学習者に期待をし、たくさん褒めて教育をしたことで、実際に学習者の成績が向上したという実験結果に基づきます。
メラビアンの法則
メラビアンの法則とは、アメリカの心理学者アルバート・メラビアンによる、コミュニケーションの際の態度や感情についての法則です。
態度や感情について矛盾するメッセージが発せられたとき、人は言語情報と比較して、視覚情報や聴覚情報からより強く影響を受けます。
その比率は、視覚>聴覚>言語の順で、「55:38:7」とされています。
ボッサードの法則
ボッサードの法則とは、アメリカの心理学者ボッサードが発見した、男女間の物理的な距離が近いほど心理的な距離も縮まる、という法則です。
5000組の婚約中のカップルの調査によると、2人の距離が離れていればいるほど、結婚にたどり着く確率は低かったと言います。
吊り橋効果
吊り橋効果とは、カナダの心理学者、ダットンとアロンによって提唱された、人は生理的に興奮する事で、自分が恋愛していると錯覚するという心理現象のことです。
男性が高い吊り橋の上で出会った女性に興味を持ちやすくなったという実験結果に基づきます。
ピークエンドの法則
ピークエンドの法則とは、人間は自分自身の過去の経験を、ピーク時にどうだったか(嬉しかったか悲しかったか)及び、それがどう終わったかだけで判定しやすい、という心理学の法則です。
終わり良ければ全て良しということです。
ラベリング理論
ラベリング理論とは、アメリカの社会学者ハワード・ベッカーによる、不良や犯罪などの逸脱行為は、他者からのラベリング(レッテル貼り)によって生み出されるという理論です。
少年は、「お前は不良だ」「お前は非行少年だ」といったレッテルを貼られると本当に悪い方向に育っていくという理論です。
ジェームズランゲ説
ジェームズランゲ説とは、アメリカの心理学者ウィリアム・ジェームズとデンマークの心理学者カール・ランゲによる、生理学的反応が感情の自覚よりも先に起こるという仮説です。
通常、悲しいと感じてから涙が出るという順序のように思えますが、ジェームズランゲ説では、涙が流れてから悲しいと感じるという順序だとされています。
ゲシュタルト崩壊
ゲシュタルト崩壊とは、全体性を持ったまとまりのある構造から全体性が失われてしまい、個々の構成部分がバラバラに認識され直してしまうという知覚における現象です。
同じ漢字をずっと見ていると、その漢字に違和感を覚えるようになっていくという経験がある人は多いでしょう。
ゲインロス効果
ゲインロス効果とは、最初に悪い印象を得てから、後で良い印象を得ると、通常よりも評価が上がりやすくなる、という心理学的な効果です。
普通の見た目の青年が電車で老人に席を譲っていても「あの人、今席を譲ったな」ぐらいの感想しか持ちません。
一方で、いかつい見た目の不良が老人に席を譲っているのを見ると、凄く良いことをしているように見えます。
最初の印象が悪い分、良いことをした時とのギャップが大きくなり、高評価の印象が強くなるのです。
コンコルド効果
コンコルド効果とは、ある対象への金銭的・時間的投資が損失につながるとわかっていても、それまでの投資を惜しんで投資をやめられなくなってしまう心理現象です。
例えば、レンタルビデオ屋で借りた映画が全然面白くなくても「せっかく借りたのだから最後まで観よう」と感じるのも、コンコルド効果の一種です。
リスキーシフト
リスキーシフトとは、普段は穏健な考え方をする人でも、大勢の集団の中では、極端な言動に同調しやすくなる、という社会心理学上の現象です。
2017年に、ドナルド・トランプがアメリカの大統領になりましたが、これもリスキーシフトによるものかもしれません。
ツァイガルニク効果
ツァイガルニク効果とは、ドイツの心理学者クルト・レヴィンが提唱した、人は達成できなかった事柄や中断している事柄の方を、達成できた事柄よりも、強く記憶や印象を持つという心理学的な現象です。
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ミラーリング
ミラーリングとは、相手の動作に対して、まるで鏡のように自分の動作も合わせることで、相手から好感を得やすくなるというコミュニケーションの手法です。
人が人を好きになる要因の1つに「類似性」があります。
同じ感性や趣味を持っている相手に自然に好感を持ったという経験は、誰にでもあるでしょう。
カラーバス効果
カラーバス効果とは、意識している事柄に関して、自然とそれに関する情報が集まってくるという心理学の法則です。
ある1つのことを意識することによって、意識していることに関する情報が無意識のうち、自分の手元にたくさん集まるようになります。
例えば、いつもと同じ道でも、「赤」という色を探すつもりで歩いてみると、普段意識しなかったことが気になるようになり、全く異なる景色に思えることがあります。
アンカリング効果
アンカリング効果とは、人間は先行する情報によって後の判断が歪められてしまうという心理学的な現象です。
例えば、ある商品がそのまま1,000円で売られている場合よりも、5,000円から80%OFFで1,000円と値引きして売られている場合の方が、消費者はその商品を買いたいという気持ちを持ちやすくなります。
返報性の原理
返報性の法則は、好意に対しては好意で報いるなど、人はもらいっぱなしの状態を居心地悪く感じるという心理学の現象です。
何かを与えると相手からもお返しが返ってくることから、ギフトの法則とも呼ばれます。
無料のお試しサンプルや試食、試着などをすると、それを購入しなければいけないような気がしてくるという経験は誰にでもあるでしょう。
生存者バイアス
生存者バイアスとは、ある物事を判断する際に、脱落した存在を考慮せずに、最終的に残ったものを基準に判断をしてしまうという誤りのことです。
例えば、FXで大儲けしたという報告を良く聞くため、そうした金融商品は誰でも簡単に儲かると勘違いしてしまう場合があります。
損をした人は基本的にその話は周りにせず、ひっそりと消えていき、儲けた人の声だけが社会に届きます。
そのため、私たちの耳に届くのは華々しい勝利報告のみで、FXは簡単に稼げる素晴らしい手法だと誤って判断してしまうのです。
アンダーマイニング効果
アンダーマイニング効果とは、内発的に動機づけられた行為に対して、報酬を与えるなどの外発的動機づけを行うことによって、モチベーションが低下してしまうという心理学的な現象です。
例えば、自ら進んで勉強をしている子供に「テストで10位以内に入ったらお小遣いを1000円上げるよ」といった報酬を与えた場合、お小遣いをもらおうと頑張っている間はやる気が上がりますが、報酬が無くなると勉強をしなくなってしまうようなことがあります。
ダニングクルーガー効果
ダニングクルーガー効果とは、能力の低い個人が、自らの容姿や発言・行動などを実際よりも高く評価してしまうという心理学的な現象です。
人間が自身の能力を客観的に見ることができないために生じます。
例えば、頭の悪い人が、頭の良い周りの人の言っていることが理解できずに「周りは馬鹿で自分は賢い」と思い込んでいるような状況が、ダニングクルーガー効果に陥っていると言えます。
タナトフォビア
タナトフォビアとは、死ぬことを極度に恐れる症状で、死恐怖症とも呼ばれます。
人間にとって、誰でも「死」は恐怖の対象です。
自分が死に至る過程や、死んだ後にどうなるのかなどを考えた時に不安にならない人はいないでしょう。
しかし、誰もが死ぬことには恐怖を覚えつつも、日常ではそれをほとんど意識せずに生活してます。
一方で、タナトフォビアの人は、そうやって折り合いを付けることができずに、いつか自分が必ず死ぬという現実に恐怖し続けます。
ストライサンド効果
ストライサンド効果とは、情報を隠蔽したり除去しようとしたりする努力が、逆にその情報を広い範囲に拡散させてしまう結果となってしまう現象です。
元々、誰も気に留めたり気づかれていなかったことでも、関係者が隠蔽を試みた結果、「ここに知られたくない大事な秘密がありますよ」と逆に広く宣伝してしまうことになるため、このような現象が起きます。
カクテルパーティ効果
カクテルパーティ効果とは、イギリスの心理学者コリン・チェリーが提唱した、人間は雑音の中から必要な音声だけを自然と聞き取ることができるという現象です。
カクテルを皆で飲むパーティ会場のように、たくさんの人がそれぞれに雑談している中でも、自分が興味のある内容の会話や、自分の名前は自然に聞き分けることができます。
偽の合意効果
偽(ぎ)の合意効果とは、人間が自分の考え方を他の人に投影するという心理学的な傾向のことを指します。
人は自分の意見・信念・好みが、実際よりも一般大衆と同じだと思い込みます。
自分の好きな曲や映画、小説などを、他の人も気に入るはずだと思い、勧めてみても、あまり良い反応が返ってこず、ガッカリしたという経験がある方も多いのではないでしょうか。
認知的不協和
認知的不協和とは、人が自身の中で矛盾する認知を同時に抱えると、不快感を覚え、それを解消させようとするという社会心理学の現象です。
例えば、お金持ちになりたいという夢があるのに、低賃金のサラリーマン生活から抜け出せない場合、人は「お金なんて大事じゃない」と自分を納得させることで、認知的不協和の解消を図ります。
パブロフの犬
パブロフの犬とは、経験によって後天的に習得される条件反射を発見するきっかけとなった、ソ連の生理学者であるイワン・パブロフが行った実験です。
パブロフは、犬にエサを与える前に必ずベルを鳴らすようにするという実験を行いました。
実験中、犬はベルが鳴ってからエサを食べるという経験を何度も繰り返すことになります。
毎回エサを与える前にベルを鳴らすため、そのうち犬は次第にベルが鳴っただけでよだれを垂らすようになります。
確証バイアス
確証バイアスとは、人間は仮説や信念を検証する際に、都合の良い情報ばかりを集め、反証する情報を無視してしまうという心理学的な現象です。
例えば、ちょっとでも欲しいと思ったものは、感想やレビューから良いことが書いてあるものだけを探し、買う理由を無理に作ってしまう場合や、嫌いな人を見ているとその悪い所にばかり目がいってしまう場合は、確証バイアスに陥っていると言えます。
皆さんはいくつ知っていましたか?
こうした心理現象を知っておくと、仕事や恋愛などの人間関係を有利に進めることができます。
生活上の様々な場面で役立てることができますので、活用してみてください。