ここでは、日常会話で使える知的な小話と、実際の使用例を紹介します。
部分強化とは
部分強化とは、ある行動に毎回ご褒美を与えるよりも、たまに与えた方が、人は何度もその行動を続けるようになるという心理学の現象です。
いつもうまくいくことよりも、時々成功することのほうが熱中しやすいという経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
例えば、簡単すぎるゲームはすぐに飽きますが、何度も失敗を繰り返して、自分の実力のギリギリでクリアできるゲームは、程よく面白いと感じます。
このように、失敗を繰り返す中で、たまに報酬(=ゲームでいうクリア)を与えることで、人間の興味を強く惹くことができます。
ちなみに、たまに報酬を与える部分強化とは別に、常に報酬を与える連続強化という方法もあります。
こちらは人間の興味を惹くための手段としてはあまり有効ではありません。
ギャンブルが楽しい理由
以下のサルを使った有名な実験も、部分強化の心理効果によるものです。
まず、ボタンを押すと必ず餌が出てくる箱を作ります。
それに気がついたサルはボタンを押して餌を出すようになります。 食べたい分だけ餌を出したら、その箱には興味を無くします。
腹が減ったら、また箱のところに戻ってきます。
ボタンを押して、餌を食べると、サルはまたその箱に興味をなくします。
ところが、ボタンを押して、餌が出たり出なかったりするように設定すると、 サルは一生懸命そのボタンを押すようになります。
餌が出る確率をだんだん落としていきます。
ボタンを押し続けるよりも、他の場所に行って餌を探したほうが効率が良いぐらいに、 餌が出る確率を落としても、サルは一生懸命ボタンを押し続けるのです。
そして、餌が出る確率を調整することで、 サルに、狂ったように一日中ボタンを押し続けさせることも可能なのです。
この実験でのサルは、ギャンブル中毒の患者に例えられることがあります。
パチンコやスロットなどのギャンブルにハマってしまう人が多いのも、部分強化によるものです。
ギャンブルは基本的に、賭ける側が損をするような仕組みになっています。
そのため、ギャンブルをしても、大抵は負けることになり、お金を失ってしまいます。
しかし、運が良ければたまに勝ち、大金を手にすることもあります。
この大抵は負けるが、たまに勝つことができる、という状況が、自然と部分強化の条件に当てはまっています。
いつもはお金を失うが、たまにお金を得られることが、程よく脳に快感を与えるのです。
このように、ギャンブルは人間の本能に根差して快楽を与える性質を持っています
そのため、今も昔もギャンブルに依存し、大金を失ってしまう人が後を絶たないのです。
日常会話での使用方法
「パチンコ行こうぜ!」
「やめとけ、部分強化に騙されてるだけだぞ」
漫画でおさらい





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