モラトリアム:人が大人になることを拒む理由は?(知的な小話201)

ここでは、日常会話で使える知的な小話と、実際の使用例を紹介します。

モラトリアムとは

モラトリアムとは、遅延や延期、一時停止を表す単語で、様々な場面で使われます。

例えば、災害や恐慌の際に手形の決済や支払いを一時的に延期するという文脈で使われることがあります。

これは、社会の混乱を少しでも軽減するために行われる措置です。

日本では1923年の関東大震災時や、昭和恐慌時に実際に行われました。

また、法律が公布されてから実際に有効になるまでの猶予期間や、核実験の一時停止、死刑執行の停止なども、モラトリアムと呼びます。

そして、モラトリアムという言葉は人間に対しても使われます。

モラトリアム人間とは

アメリカの心理学者であるエリクソンは、子供が一人前の大人として自立する前の過渡期間をモラトリアムと呼びました。

ここではモラトリアムという単語が、大人になるまでの猶予期間という意味で使われています。

エリクソンによると、モラトリアム期間は13歳~19歳のティーンエイジャーを指し、人間として半人前の状態であるとされます。

現在では、大学や大学院を出ることも一般的になってきていますので、20歳~25歳程度が人間としてのモラトリアム期間と言えるでしょう。

そして、本来のモラトリアム期間を終え、年齢的には十分成熟しているにも関わらず、一人前の大人として行動できない人を、モラトリアム人間と呼んでいます。

年齢的には十分大人なのに、いつまでも定職に就かず、遊び歩いているような人はモラトリアム人間と呼んでしまって良いでしょう。

いつまで経っても大人になることができないという点から、ピーターパン症候群とも呼ばれます。

モラトリアム自体は一人前になるために社会的に認められている期間ですが、モラトリアム人間という言葉は否定的な意味で使われることが多いです。

日常会話での使用方法

「単位落としてまた留年しちゃった」

「モラトリアム人間め!」



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