広いホールでは発想が広がり、小さな部屋では細部へ目が向くのでしょうか。カテドラル効果は、天井の高さと考え方の関係について紹介される言葉です。「高い部屋に行けば、誰でも賢くなる」と受け取るより、研究で何を比べたかを見てみましょう。
天井の高さと、情報の捉え方
Meyers-LevyとZhuの2007年の研究は、天井の高さが、自由や制約に関する連想を通じ、情報を扱う仕方に影響するという仮説を調べました。
論文では、天井の高さが意識に上りやすい条件で、高い天井は物事の関係をまとめて捉える処理、低い天井は個々の項目の特徴を捉える処理に関わる結果が報告されています。Meyers-Levy & Zhu(2007)
調べられたのは、課題に対してどう情報を扱うかです。知能が上がることや、どんな創作でも作品の質が上がることを、一律に示した研究ではありません。
関係を見ることと、細部を見ること
架空のゲーム画面を点検するとします。「問題を見る、考える、答える、解説を読む」という全体の流れを考えることと、「入力欄の文字が切れていないか」を確認することは違う作業です。
前者では、場面同士のつながりや、体験のまとまりを見ます。後者では、個々の表示や条件を詳しく見ます。どちらも制作に必要で、抽象的な思考だけが優れているわけではありません。
作業に合った見方へ切り替えることは考えられますが、その切り替えを部屋の高さだけに任せる必要はありません。確認する項目を書いたり、画面全体を縮小して見たりすることも、作業の見方を変える工夫になります。
建物の用途を、天井だけで説明しない
高い天井の店舗があるからといって、来店者を長く滞在させるためだと、外観だけで決めることはできません。建物の構造、設備、明るさ、音など、ほかの条件もあります。
同じく、ある部屋で集中できなかった理由が、天井の高さだけだとは限りません。騒音が大きかった、暑かった、作業の準備ができていなかった。考えられる条件を分けると、変えられることが見えてきます。
作業場所を試すなら、課題を決めて比べる
部屋の改装を考える前に、自分ができる範囲で、場所と作業の相性を比べることはできます。たとえば、同じ長さの時間で、企画案を出す作業と、文章の誤字を探す作業を試します。
- 課題:何を考え、何を完成させるのかを決める。
- 条件:時間帯、音、明るさ、疲れなども記録する。
- 結果:気分だけでなく、できた作業や見つけた課題を見る。
一度うまくいったからといって、原因が場所にあるとすぐには決まりません。それでも、記録があれば、自分の作業を整える材料になります。
発想と確認を、作業の中でも分ける
アイデアを出す段階で、すべての欠点を同時に指摘すると、案を書き出しにくくなる場合があります。まず候補を並べ、次に条件と照らし合わせて選ぶように、作業の順番を分けることもできます。
カテドラル効果を、家具選びの魔法の法則にする必要はありません。どんな作業に、どんな見方が必要かを考えるきっかけとして読むと、日常の工夫へつなげやすくなります。
比べる条件の設計については、白鳥の首フラスコ実験の記事もどうぞ。

