ダモクレスの剣:支配者は常に危険にさらされている?(知的な小話170)

ここでは、日常会話で使える知的な小話と、実際の使用例を紹介します。

ダモクレスの剣とは

ダモクレスの剣とは、常に身に危険が迫っている危機的な状況を指す比喩です。

古代ギリシアの都市であるシラクサで、ダモクレスという青年は、シラクサの支配者であったディオニュシオス2世の栄華を称える発言をしました。

すると、ディオニュシオス2世は、ダモクレスに王座に座るよう促します。

そこで、王座に座ったダモクレスは、頭上に1本の糸で吊るされた剣があることに気付きます。

ディオニュシオス2世は、どんなに繁栄していても、王者には常に謀反や裏切りといった危険が付きまとっているということをダモクレスに伝えたのです。

核兵器は現代版ダモクレスの剣?

ダモクレスの剣という言葉が広まったきっかけとして、アメリカのケネディ大統領の国連演説があります。

地球のすべての住人は、いずれこの星が居住に適さなくなってしまう可能性に思いをはせるべきであろう。 老若男女あらゆる人が、核というダモクレスの剣の下で暮らしている。世にもか細い糸でつるされたその剣は、 事故か誤算か狂気により、いつ切れても不思議はないのだ。

ケネディは地球を滅亡させることのできるほどの核兵器を複数の国家が保持している状況を、ダモクレスの剣に例えました。

人類の知恵の結晶である科学によって生まれたものが、人類を滅亡させるための道具というのは皮肉な話です。

一方で、核兵器という強力な武器によって、むしろ平和が守られているという考え方もあります。

メメント・モリ

メメント・モリは「自分が必ず死ぬことを忘れるな」という意味のラテン語で、しばしば芸術作品のテーマとして扱われます。

死神が貧乏人も金持ちにも等しく死をもたらす様子を描いた『死の舞踏』はメメント・モリをテーマにした作品として非常に有名です。

メメント・モリも、王者には常に死が隣り合わせだという教えであるダモクレスの剣と類似の概念です。

「盛者必衰」を表す言葉だと言えるでしょう。

日常会話での使用方法

「ようやく社長になったからこれからの人生は楽勝だ!」

「ダモクレスの剣に学んで、油断しちゃダメだよ」



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