アリアドネの糸:運命の赤い糸は実在した?(知的な小話174)

ここでは、日常会話で使える知的な小話と、実際の使用例を紹介します。

アリアドネの糸とは

アリアドネの糸とは、正しい道しるべを指す比喩で、ギリシャ神話の物語に由来する言葉です。

大昔のギリシャのクレタ島で、上半身が牛で、下半身が人間の怪物である、ミノタウロスが住んでいました。

ミノタウロスは少年少女を生贄として殺してしまう、悪い怪物です。

そこで、アテネの王子であるテセウスは、ミノタウロスの退治をすることを決意します。

ですが、ミノタウロスは広大で複雑な迷宮であるラビリンスに住んでおり、これまでラビリンスに入った者は、誰一人出ることができませんでした。

そんな中、王女であるアリアドネは、ラビリンス攻略の秘策として、テセウスに1つの糸玉を渡します。

糸を垂らしながら迷宮を進んでいけば、ミノタウロスの退治後に、糸を辿って入り口に戻ることができるのです。

そして、テセウスはこのアリアドネの糸を使い、無事にミノタウロスを退治することに成功します。

こうした伝説から、アリアドネの糸は「正しいゴールへの道しるべ」の比喩として使われるようになりました。

ゲーム『ポケットモンスター』で洞窟から脱出できるアイテムとして登場する「あなぬけのひも」も、この話を元に作られたのでしょう。

テセウスが登場するパラドックスとして、テセウスの船も有名です。

運命の赤い糸?

恋人や結婚相手とは「運命の赤い糸」で結ばれていると良く言われます。

アリアドネの糸がこの運命の赤い糸の由来だという説もあります。

アリアドネは愛するテセウスに赤い糸を渡し、テセウスはその糸を使って見事ラビリンスを攻略しました。

しかし、実はこの話には続きがあります。

ラビリンスから脱出後、2人はアテネに戻ろうとするのですが、テセウスは途中でアリアドネを置き去りにしてしまいます。

最終的にアリアドネはテセウスと結ばれることはなく、別の男と結婚することになります。

運命の赤い糸は、あっけなく切れてしまったのです。

赤い糸と聞くとロマンチックなイメージですが、その裏には実は悲しい物語が存在するのです。

日常会話での使用方法

「テスト中、クラスの秀才君の答案がチラッと見えたんだ!」

「アリアドネの糸だね!」



本サイトで紹介している用語一覧は以下です。



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