ここでは、日常会話で使える知的な小話と、実際の使用例を紹介します。
生存者バイアスとは
生存者バイアスとは、ある物事を判断する際に、脱落した存在を考慮せずに、最終的に残ったものを基準に判断をしてしまうという誤りのことです。
例えば、FXで大儲けしたという報告を良く聞くため、そうした金融商品は誰でも簡単に儲かると勘違いしてしまう場合があります。
FXは基本的にゼロサムゲームであり、儲かっている人がいれば、同じだけ損をしている人もいます。
しかし、損をした人は基本的にその話は周りにせず、ひっそりと消えていき、儲けた人の声だけが社会に届きます。
そのため、私たちの耳に届くのは華々しい勝利報告のみで、FXは簡単に稼げる素晴らしい手法だと誤って判断してしまうのです。
生存者の裏には、常に目に見えない敗北者がいることを意識しなければなりません。
まさに「死人に口なし」ということです。
YouTuberやブロガーが楽をして稼げる職業だと思われることも良くありますが、売れっ子たちの陰には、多数の無名で認知されていない人たちがいるのです。
上手い話に要注意
例えば、ある投資信託があり、その信託を3年間続けた人の90%は儲けを出しているという情報があるとします。
投資信託は、自分のお金を他者に運用してもらうサービスであり、市場の浮き沈みによって儲かることもあり、損することもある商品です。
そのため、90%の人が儲かっているというのは驚異的な数字で、とても魅力的な商品に思えます。
しかし、ここには生存者バイアスの罠が隠されています。
その投資信託を続けている人の立場になって考えてみると、最初の数か月~1年間運用を任せてみて、損失が広がっていったらその信託を止めてしまうでしょう。
逆に言えば、3年間も続けるような人は、その投資の結果に満足しており、継続したいと思えるような人ばかりになります。
つまり、「3年間続けた人のうち90%が儲けた」というのは事実ですが適切な表現ではなく、「儲かった人ばかりが3年間続けた結果、残った人の90%が儲けた人となった」という言い方が正しいです。
このような場合、90%の確率で儲かると思い込んで、この信託を始めると痛い目を見る可能性が高いです。
甘い罠に騙されないためにも、生存者バイアスのことを知っておき、表に出てこない退場者の存在を意識することが重要です。
予知能力者を信じる人が絶えない理由は?
世の中にはたくさんの予知能力者が存在します。
近い将来の予想ならまだしも、「〇〇年に大きな地震が起きる」「△△年に核戦争が起きる」といった遠い未来を予知することは現実的にはあり得ません。
しかし、世の中にはそうした胡散臭い予知能力者を信じてしまう人も少なくありません。
予知能力者を信じる人は、実際に「〇〇年に地震が起きる」といった予知が当たっているのを見たことがある、という人もいます。
しかし、これは生存バイアスによる誤りです。
世の中には予言をしたがる人は無数におり、「2025年に日本で大きな地震が起きる」と予知している人もいるでしょうし、「2026年に日本で大きな地震が起きる」と予知している人もいるでしょう。
それぞれが別々の年に「地震が起きる」と予言していれば、 いつかは実際に地震が起き、予言を的中させる人も出てきます。
そして、こうした予知は、当たった時は大きな注目を得ますが、外れても特に注目されずに忘れられるだけです。
つまり、無数の予知能力者の中から、たまたま予知が当たった人(生存者)のみがピックアップされ、多くの外れた予知能力者の存在は無視されているのです。
生存者だけに注目が集まるため、予知が成功したように感じてしまうのです。
これが予知能力者が予知に成功しているからくりです。
胸元を見られると女性は必ず気付く?
よく女性は「男の人が胸元見てるのって100%気付いてるよ」と言いますが、これも生存バイアスによる誤りです。
そもそも胸元を見ていると意識するのは、胸元を見られていると気付いた時だけです。
当然、胸元を見られているにも関わらず、それに気付いていない場合はそれを意識しません。
視線に気づいていない場合は何も意識されず、視線に気づいた場合のみ意識するという生存者バイアスが働くため、男性のスケベな目線には必ず気付くように誤解しているのです。
男性が胸元を見ている回数は女性が思っているよりも遥かに多いので、甘く見ないでもらいたいものです。
日常会話での使用方法
「ブログって儲かるんだね!色んな人が儲けてる話してるし!」
「それは生存者バイアスだよ・・・。」
本サイトで紹介している用語一覧は以下です。