他人の締め切り遅れには厳しいのに、自分が遅れると「忙しかったから仕方ない」と言う。同じような出来事に、都合よく別の物差しを使ってしまうことがあります。ダブルスタンダードは、こうした二重基準を指す言葉です。
ダブルスタンダードとは
同じような状況に対して、異なる基準を適用し、不公平な扱いをすることです。英語のdouble standardから来た言葉で、日本語では二重基準や二重規範と呼ばれます。Cambridge Dictionary「double standard」
ポイントは、結果が違ったことだけではなく、その違いを説明する、判断に関係する理由があるかです。いつも同じ結果にすれば、すべて公平になるわけでもありません。
締め切りの例で考える
次は、基準を比べるための架空の場面です。
| 場面 | 判断 |
|---|---|
| 同僚が、忙しさを理由に提出を遅らせた | 忙しくても、期日は守るべきだと責める |
| 自分が、同じ事情で提出を遅らせた | 忙しかったから、仕方ないと考える |
事情が本当に同じなら、「期日を守る」という基準を他人にだけ適用している可能性があります。自分については事情を詳しく知っていても、相手の事情は見えていないこともあるため、条件を確認するのが先です。
自分だけに例外を認めたいのか、それとも同じ事情の人にも例外を認めるのか。ここを問うと、基準のずれを見つけやすくなります。
扱いが違えば、必ず二重基準?
たとえば、締め切り前に合意した延長がある人と、連絡せずに遅れた人では、条件が異なります。事情や手続きの違いが判断に関係するなら、対応が違うことだけでダブルスタンダードとは言えません。
別の例で、ゲームの初心者向けモードと上級者向けモードの制限時間が違うとします。それぞれの目的や条件が明示され、選べる仕組みなら、「時間が違う」という事実だけで不公平と決めることはできないでしょう。
大切なのは、後から自分に都合よく条件を足していないか、その理由を別の人にも同じように適用できるかです。
議論では、人より先に基準を並べる
「あなたはダブルスタンダードだ」と言うだけでは、相手はどこを直せばよいかわかりにくいかもしれません。具体的には、次の順で整理できます。
- 比べる二つの場面を示す。
- それぞれで使った判断の基準を示す。
- 同じ条件と、違う条件を確認する。
- 違いが判断に関係する理由を尋ねる。
「前のケースでは連絡なしの遅れを認めなかったのに、今回は認めるのは、どの条件が違うから?」という問いなら、判断の説明へ進めます。違いがわかれば、二重基準ではなかったと考え直す余地も残ります。
矛盾した気持ちを、全部この言葉で呼ばない
「甘い物が好きだけれど、今日は食べたくない」という気持ちや、「挑戦したいが怖い」という迷いは、それだけで二重基準ではありません。判断する対象や条件、使った物差しを比べる必要があります。
好きなものへの甘さに気づくことは役立ちますが、揺れる気持ちを何でもダブルスタンダードと呼ぶと、言葉の焦点がぼやけます。
自分の判断を確かめる質問
- 同じことを、好きな人と苦手な人がしたら、評価は変わるか。
- 自分に認めた事情を、相手にも確認したか。
- 例外の条件を、事前に説明できるか。
- 立場を入れ替えても、同じ理由を使えるか。
基準をそろえることは、誰かを責めるためだけでなく、次の判断をわかりやすくするためにも使えます。印象が評価に入り込む話は、ハロー効果でも考えられます。

