ルサンチマン:恨みの感情が生み出すものとは?(知的な小話193)

ここでは、日常会話で使える知的な小話と、実際の使用例を紹介します。

ルサンチマンとは

ルサンチマンとは、弱者が強者に対して恨みや憎しみの感情を抱いている様子を指すフランス語です。

ドイツの哲学者であるフリードリヒ・ニーチェが取り上げたことで、一般的に使われるようになりました。

社会的な弱者は強者による支配により、反発するような行動を取ることが禁じられています。

そのため、弱者は強者を悪者だとし、弱い者への思いやりや自己犠牲こそが正義だと考えるようになります。

現実に対する解釈を変えることで、現状の自分を正当化しているのです。

ニーチェは、そうしたルサンチマンから生まれる復讐心こそが、ヒューマニズムや人権といった思想の根幹にあると考えました。

愛や道徳といった平等主義的な考え方も、元を辿れば弱者による強者に対する反発心だと言えるのです。

世界は無限に同じことを繰り返しているとする永劫回帰もニーチェによる考えの1つです。

キリスト教はルサンチマンから生まれた?

ルサンチマンは自分の現状を正当化しようとする奴隷精神を指します。

大昔のヨーロッパでは、ローマ帝国がユダヤ人を支配していました。

ローマ人は豊かに暮らしており、ユダヤ人は貧しく虐げられた日々を送っていたのです。

ユダヤ人はそうした過酷な状況を、自分の認知を歪めることによって解消しようとします。

つまり、弱くて貧しいユダヤ人こそが正義で、強くて豊かなローマ人は悪だという基準を作ったのです。

そうでもして自分の過酷な境遇を正当化しないと、精神を安定させることができません。

そうした現実に対する解釈の変更の結果、弱者に優しい宗教であるキリスト教が生まれたのだと、ニーチェは考えたのです。

ルサンチマンは理想と現実のギャップである認知的不協和を解消しようとする働きの一種と言えます。

日常会話での使用方法

「贅沢はせずに慎ましく生きる方が良い人生なんだよ」

「ルサンチマンじゃん」



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