ここでは、日常会話で使える知的な小話と、実際の使用例を紹介します。
無知の知とは
無知の知とは、ギリシアの哲学者であるソクラテスが提唱した、自分が物事を知らないことを知ることこそが哲学の出発点だとする姿勢です。
人は大人になると、ある程度の人生経験を重ね、何でもわかった気になりがちです。
すると、新しい知識を得ることを止めてしまい、成長が止まってしまいます。
しかし、ソクラテスから言わせれば、人は世の中のことをほとんど何も知らないも同然です。
多くの人は、簡単な質問に対しても「なぜ?」「どうして?」と繰り返すことで答えることができなくなります。
「なぜ空は青いのか」と聞かれた時、その回答に対して「なぜ?」と3回繰り返されて答えられる人は少ないでしょう。
ですが、無知を自覚することこそ、哲学のスタート地点に立つことなのです。
自分が無知であることを知ること(=無知の知)で、新たな学びを得ることができます。
ちなみに、ジョン・スチュアート・ミルは「満足な豚より不満足なソクラテスでありたい」という格言を残しています。
ソクラテスの最後
ソクラテスは「人はなぜ生きるか」「善く生きるとはどういうことか」といった質問を繰り返すことで、人々に自らが無知であることに気付かせました。
質問や対話を繰り返すことで答えに辿り着く手法を弁証法と呼んでいます。
ソクラテスは良かれと思って人々に「自分が何も知らない」ということを気付かせていましたが、周囲の人はそれを疎ましく思いました。
ソクラテスによって無知を暴かれた識者や学者から反発を買ったのです。
その結果、ソクラテスは「神々を信じず青少年を惑わした」という無実の罪で告訴され、死刑判決を受けてしまうのです。
弟子たちは脱獄を勧めましたが、ソクラテスは自ら毒を飲んで死んでしまいます。
ソクラテスは最後の瞬間まで弟子との対話を続けたそうです。
日常会話での使用方法
「無知の知だから勉強しなくていいや」
「無知から学ばないと意味ないぞ」
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