同じ条件で募集しているのに、参加の機会が特定の人に偏っている。そんなとき、募集の書き方や育成の機会まで見直すべきでしょうか。アファーマティブ・アクションは、差別や過去から続く不利によって生じた格差を、積極的に是正しようとする措置を指します。
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アファーマティブ・アクションとは
教育や雇用などで、実際の機会の格差を改善するための取り組みです。具体的な制度の対象や方法は、国や分野によって異なります。募集の機会を広げること、育成の機会を見直すこと、選考に関わる措置などを、同じ仕組みとして一括しないことが大切です。
日本の職場に関しては、厚生労働省がポジティブ・アクションとして、男女の事実上の格差を解消するための、自主的かつ積極的な取り組みを紹介しています。厚生労働省:ポジティブ・アクション
同じルールでも、機会は同じ?
説明のため、架空の研修を考えましょう。「参加したい人は申し込める」というルールでも、案内が一部の人にしか届かなかったら、全員に同じ機会があるとは言いにくいでしょう。
また、研修への参加経験が昇進で重視されるのに、その研修を受ける機会が偏っていたとしたら、選考時点の基準だけでなく、そこへ至る経路も検討する必要があります。
同じ物差しで評価することと、その物差しで評価される準備の機会があることは別です。この違いが、積極的な措置を考える一つの入口になります。
「一定の枠を作る」だけではない
| 着目する場所 | 検討できることの例 |
|---|---|
| 募集 | 情報が届いていない層へ、案内の機会を広げる |
| 育成 | 研修や経験を得る機会に偏りがないか調べる |
| 職場の仕組み | 配置や働き方が、能力を発揮する機会を妨げていないか見る |
| 結果の確認 | 取り組み前後で、どんな格差が変わったか確認する |
これは取り組みを考えるための例で、個々の制度の適法性を示す一覧ではありません。人数の目標を持つことと、選考で一定数を必ず割り当てることも異なります。具体的な方法を分けて見ると、議論がわかりやすくなります。
公平をめぐって、何が論点になる?
格差を改善するという目的に賛成していても、どの方法が適切かでは意見が分かれ得ます。
- 対象:どんな不利や格差を、どの資料から確認したか。
- 方法:その措置が、問題の原因に働きかけるか。
- 影響:対象となる人と、それ以外の人にどう作用するか。
- 見直し:改善をどう測り、いつ方法を再検討するか。
「優遇だから全部よい」「優遇だから全部悪い」という言い方では、目的も方法も隠れます。何を変える制度なのかを具体的にしてから、効果や公平を考える必要があります。
米国の大学入学と、日本の職場を同じ扱いにしない
米国では、2023年6月29日の連邦最高裁判決で、ハーバード大学とノースカロライナ大学の人種を考慮した入学者選考制度が否定されました。これは、その国の法的な枠組みと、争われた制度についての判断です。米国連邦最高裁・2023年の判決
この判決を、そのまま日本の職場での取り組みや、すべての格差是正策の評価へ当てはめることはできません。制度についての記事を読むときは、国、時期、対象、具体的な措置を確認すると、異なる話が混ざるのを防げます。
制度を評価する前に、問題を言葉にする
まず「誰が何人いるか」だけでなく、どの段階で機会に違いが生じているかを考えます。応募前の情報、経験を得る機会、選考の基準、参加後の環境では、必要な措置が違うでしょう。
アファーマティブ・アクションは、誰かの能力を一括して評価する言葉ではありません。機会の差をどのように扱うかという、制度の問いです。基準の違いを考えるときは、二重基準と、理由のある区別も参考になります。

