ここでは、日常会話で使える知的な小話と、実際の使用例を紹介します。
プロバビリティの犯罪とは
プロバビリティの犯罪とは、確実に殺人を行う訳ではないが、「もしかしたら相手が死ぬのではないか」「こうすれば相手を殺しうるかもしれない」という考えのもと、不確実な手段で相手を殺そうとする方法を指します。
プロバビリティ(probability)は日本で確率を意味します。
例えば自転車のブレーキが壊れているのを知りながら、相手にその自転車を貸すような行為は、プロバビリティの犯罪に当たります。
確実に相手が死ぬとは言い切れませんが、もしそれで相手が死んだとしても自分が逮捕される可能性は低いです。
もし相手が死ななくても、自分の不利益にはならないので、非常にズルい手法です。
しかし、未必の故意(みひつのこい)とみなされ、殺人罪が適用される可能性もありますので絶対にやめましょう。
未必の故意とは、確実に殺そうという意図はないが、結果的に相手が死んでしまっても構わないと考えて行為を行うような心理状態指します。
『殺人なりや?』
イギリスの小説家であるロバート・ルイス・スティヴンスンが書いた『殺人なりや?』では、プロバビリティの犯罪と言える殺人が登場します。
『殺人なりや?』は伯爵が男爵を殺そうとする話で、伯爵は男爵に向かって夢の話をします。
その夢では男爵が登場し、男爵はローマ郊外の荒れ果てた墓地を歩いています。
男爵は真っ暗な墓地を一人でどんどん進んでいったというのが、伯爵の語る夢の内容です。
夢の話を聞いた数日後、男爵がドライブをしていると、実際にローマ郊外に墓地を発見します。
夢の話との不思議な一致に興味を持った男爵は、懐中電灯を持ってその墓地を歩いてみます。
夢の通りにどんどん進んでいってみると、男爵は何かにつまずいて古井戸に落ちてしまいます。
古井戸の手すりは壊れており、男爵はそこから出ることができずに死んでしまいます。
実は伯爵が語った夢の内容は嘘で、伯爵は古井戸の手すりが壊れていて危険だということを知っていたのです。
男爵が夢の話に興味を示して不運な事故に遭えば自分の手を汚さずに男爵を殺せるし、興味を示さなくても何も不利益は無いため、伯爵は架空の夢の話をしたのです。
果たしてこれは殺人罪だと言えるのでしょうか、というのがそのまま作品のタイトルとなっています。
日常会話での使用方法
「誰かが転んだら面白いから、床にあるゴミを放置しておこう」
「プロバビリティの犯罪じゃん」
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