ここでは、日常会話で使える知的な小話と、実際の使用例を紹介します。
トートロジーとは
トートロジーとは、ある事柄を説明するのに、同義語や類義語を反復する手法です。
「力とはパワーだ」「空は青いから青い」といった無意味な言葉の反復はトートロジーと言えます。
小説や詩の修辞技法として利用されることもありますが、議論などで相手を煙に巻く際に悪用されることもあります。
例えば、イスラム教の聖典であるコーランには「唯一神のアラーの決定が全て正しい」と記載されています。
そしてコーランはアラーが決定したため、コーランの内容も正しいと主張されます。
これはまさにトートロジーによる論法です。
コーランの正しさはアラーによって支持されており、アラーの正しさはコーランによって支持されています。
つまり、互いが互いの正しさを保証しているだけであり、本質的には何も論理的な説明がされていないのと同じです。
このように、一見するとロジックが通っているように見えますが、実は何の内容も伴っていないような議論を行うことが可能なので、注意する必要があります。
議論の内容をループさせることから、循環論法とも呼ばれます。
「右」の定義は?
辞書で「右」という言葉を調べると、どのような説明がされているでしょうか。
文字だけで「右」という概念を説明するのは非常に難しいように感じます。
広辞苑には「南を向いたとき、西にあたる方」と書いてあり、新明解国語辞典には「アナログ時計の1時~5時までの表示がある側」と記載されています。
大辞泉では「大部分の人が食事の時、箸を持つ側」としており、どの辞書も色々な工夫をして「右」の定義をしていることがわかります。
しかし、中には「左の反対」といった定義をしている辞書も存在します。
これでは明確に「右」の定義をできているとは言えません。
そうした辞書で「左」を調べてみると「右の反対」と書かれており、結局「右」という言葉と「左」という言葉の説明ができていません。
これはまさにトートロジーが発生している状況で、「右」と「左」の言葉を知らない人が読むと、わからない言葉でわからない言葉を説明していることになり、意味が理解できません。
文字通り右も左もわからなくなってしまいます。
このように、油断をしていると日常でもトートロジーの罠にハマってしまう場合があるので、注意する必要があります。
日常会話での使用方法
「とにかく嫌だから、あいつが嫌いなんだ!」
「トートロジーじゃん」
本サイトで紹介している用語一覧は以下です。