勉強を1回終えると、地図の道が少し伸びる。苦手だった問題を解けると、成長が画面に残る。ゲームで使われる目標や進捗の見せ方は、ゲーム以外の活動にも取り入れられます。それがゲーミフィケーションです。
ゲーミフィケーションの意味
ゲーミフィケーションとは、ゲーム以外の場面へ、ゲームデザインの要素を使うことです。デターディングらの2011年の論文では、このような定義が提案されました。定義を論じた研究論文では、ゲームそのものや、広い意味での遊びとの関係を整理しています。
学習や仕事を、必ず丸ごとゲームに変える必要はありません。目標、進捗、短い挑戦、すぐ返ってくる結果など、活動に合う要素を選びます。学ぶための完成したゲームを作ることと、学習サービスへ一部のゲーム要素を加えることは、重なりながらも違う考え方です。
どんな要素を取り入れられる?
| 要素 | 学習での例 | 考えたい役割 |
|---|---|---|
| 小さな目標 | 今日は例文を3つ読む | 何から始めるかを明確にする |
| 進捗の表示 | 取り組んだ単元が地図に残る | 進んだことを見えるようにする |
| フィードバック | 答えた直後に理由がわかる | 次の試し方を考えられるようにする |
| 挑戦の調整 | 難易度を選べる | 負担と手応えを調整する |
ポイントやバッジは、進捗を伝える手段のひとつです。付ければ自動的に面白くなるというより、「何をできたと感じてほしいか」から選ぶと、目的が見えます。
飲食店の例:くら寿司のビッくらポン!
くら寿司の「ビッくらポン!」は、食事と抽選の体験を結びつけた例です。皿回収ポケットへ対象の皿を入れる仕組みなどを通じて、食事の途中に遊びの要素が加わります。スマホ注文や追加の仕組みもあるため、参加条件は利用時の案内で確認するとよいでしょう。くら寿司の公式紹介で、仕組みの説明を確認できます。
食事の場面に楽しみを足す例として考えられますが、これだけで売上増加の原因や、特定の心理効果を断定することはできません。「あと少し」という表示が何を促すかは、設計によって変わります。
仕事では、楽しさ以外も見る
私も派遣のアルバイトで、倉庫の荷物を集める作業を経験しました。同じような作業が続くと、進み具合や区切りが見えにくく感じる場面があります。完了した仕事を見えるようにする仕組みは、その点で役立つかもしれません。
一方、速さだけのランキングを付けると、正確さや安全のような大事な目的が見えなくなることも考えられます。測りやすい数字が、活動の本当の目的と同じかを確かめたいところです。参加する人の負担や、自分のペースで続けられるかも、設計の一部です。
アプリに取り入れるなら、まず一つの体験から
- 支えたい行動を決める。「毎日開く」より「解き方を一つ理解する」など、利用者の目的へつなげる。
- 達成したことを、具体的に返す。点数だけでなく、できた内容も伝える。
- 失敗した後の再挑戦を用意する。ヒントや難易度を選べるようにする。
- 続けやすさを確かめる。連続記録が途切れたら全部失うような負担も見直す。
謎解きなら、答えを奪わずに助けるヒントが、次の挑戦を支えます。進捗の見せ方についてはエンダウド・プログレス効果も参考になります。楽しい仕掛けを足すときほど、利用者が本当に達成したいことへ戻って考えると、設計の軸ができます。
