「答えを見ればわかるのに、ヒントを読んでも進めない」。謎解きを作ると、そんな場面に出会います。いいヒントは、答えに近い言葉を小出しにするだけではありません。解く人が次に何をすればよいかを、ひとつ見つけられる言葉です。
ここでは短い例題を使い、ヒントを3段階に分ける作り方を考えます。紙の謎解きにも、Unityで作る謎解きアプリにも使える設計例です。
目次
まず「どこで止まるか」を分ける
解けない理由は、人によって違います。何を見る問題なのかわからない人もいれば、見る場所は合っているのに、操作が思いつかない人もいます。答えはわかったけれど、入力の表記が違っていることもあります。
| 止まっている場所 | 助ける内容 |
|---|---|
| 何を見ればよいかわからない | 注目する場所や情報を示す |
| 関係や操作が見つからない | 比べ方、並べ方、読み方を示す |
| 答えの形がわからない | 文字数や入力形式を示す |
最初から解法を説明すると、発見する楽しさを飛ばしてしまいます。逆に「よく見てみよう」だけでは、どこを見るかが変わりません。その間に、ちょうどよい一歩を作ります。
例題で、3段階のヒントを作る
次は、この記事のために用意した小さな例題です。右側には、左の言葉から一文字を取り出して入れています。共通する取り出し方を考え、「?」を埋めてください。
あか → か
ねこ → こ
そら → ?
ヒント1:見る場所を変える
赤い物や猫の特徴より、書かれている文字に注目してみましょう。
ここでは、言葉が表す物から、文字の並びへ視線を移します。「どの文字を取るか」は、まだ自分で探せます。
ヒント2:比べる相手を示す
右側の一文字は、左側のどこにありますか? 「あか」と「か」、「ねこ」と「こ」を比べてみましょう。
次にすることが「左右を比べる」とわかります。ヒントを読んだ後に、手を動かして丸をつけるような行動が生まれると、進めるヒントになります。
ヒント3:操作を示す
左の言葉の、最後の一文字を取り出しています。「そら」の最後は何でしょう?
答えは「ら」。最後のヒントでは操作を伝えますが、残った一歩は解く人に任せます。小さな一歩でも、自分で答えを出せる余地を残せます。
ヒントは「弱・中・強」より、役割で分ける
3段階に分けても、同じ内容を言い換えただけでは、詰まっている人は進めません。「よく見よう」「もっとよく見よう」「注意して見よう」では、助けが増えていないからです。
注目する場所 → 比べ方 → 具体的な操作のように、段階ごとの役割を決めると書きやすくなります。ただし、すべての問題で3つ必要というわけではありません。一手で終わる問題なら、ヒント1つと解説で十分なこともあります。
解説では、答えまでの道をつなぐ
答えを表示して終わると、「なぜそうなるのか」が残ることがあります。例題の解説なら、次のように、ルールと具体例をつなぎます。
右側には、左の言葉の最後の一文字が入ります。「あか」の最後は「か」、「ねこ」の最後は「こ」です。同じ取り出し方をすると、「そら」の最後は「ら」になります。
謎の中で使っていない知識を、突然説明に持ち込まないことも大切です。問題に書かれた情報から、答えにたどり着く筋道が見えると、次の問題にも取り組みやすくなります。
アプリでは、ヒントの見せ方も設計する
画面上にヒントを全部並べると、読むつもりのなかった先まで目に入ります。段階ごとに開く形なら、どこまで助けてもらうかを選べます。「ヒント2を見る」と内容の強さがわかるボタンも考えられます。
問題画面を隠してしまう場合は、ヒントを閉じたときにすぐ問題へ戻れるようにします。ヒントを読んだ直後が、試してみたくなる瞬間です。スクロールや画面移動で、その勢いを切らないようにしたいところです。
データには、問題文、許容する答え、ヒントの配列、解説を分けて持たせると、問題ごとにヒント数を変えられます。全体の画面構成は、Unityで謎解きアプリを作るときの5画面設計でも紹介しています。
試してもらうときは、最後より途中を見る
「面白かった?」だけでなく、「ヒントを見た後、何をしようと思った?」を聞いてみてください。作り手が想定した行動と違っていたら、次の一歩が伝わっていないのかもしれません。
ヒントを使った人数の多さだけで、問題の良し悪しは決まりません。難しい問題を、ヒントから納得して解けることも楽しさです。見たいのは、助けを読んだ後に、考えることが再び動き始めるかどうかです。
解く側の気持ちを味わいたくなったら、謎解き千本ノックや、公開中の謎解き・パズルアプリもどうぞ。一問の「わかった!」を、作る側から考えてみると、遊び方にも新しい発見があります。
