「誰でも楽しめるアプリ」を目指すとき、最初にどんな場面を作ればよいか迷うことがあります。ペルソナは、利用者の目的や状況を具体的な人物像にまとめ、作り手が同じ相手を思い浮かべて判断するための道具です。
ペルソナとは、架空だけれど根拠のある利用者像
デザインやマーケティングで使うペルソナは、想定する利用者を代表する人物像です。名前や顔を付けることよりも、その人が何をしたくて、どんな状況で使い、何に困るかを共有することが目的です。Nielsen Norman Group:ペルソナの基本
ただ細かな設定を足せば正確になるわけではありません。「32歳、好きな食べ物はカレー」と書いても、それが画面の設計に関係しなければ、判断にはつながりにくいでしょう。
ターゲットとの違い
「スマートフォンでゲームを遊ぶ人」という対象の範囲に対して、ペルソナでは、その中でどんな目的や使い方を重視するかを具体化します。
同じ年齢でも、短い空き時間に一問ずつ遊びたい人と、休日に難問へじっくり挑戦したい人では、求める体験が違います。年齢だけで一つの行動を決めつけるより、遊ぶ場面から考えたほうが、設計の違いを見つけられます。
謎解きアプリの記入例
次は説明用の架空のペルソナです。Takeru Labのアプリ利用者を調査して得た結果ではありません。
| 項目 | 仮の利用者像 |
|---|---|
| 使う場面 | 待ち時間に、スマートフォンで一問ずつ遊ぶ |
| 目的 | 短い時間でも、ひらめいた達成感を味わいたい |
| 困りごと | 途中で中断すると、どこまで考えたか忘れる |
| 避けたいこと | ヒントを開いたら、すぐ答えまで見えてしまう |
| 設計で検討する点 | 再開しやすい表示、段階的なヒント、短い操作 |
この例なら「プロフィールの好物を増やす」より、「中断後の画面で何を見せるか」を考えるほうが役立ちます。設定から、実際の判断が一つ引き出せるかを確認してみてください。
想像から始めるなら、仮説として扱う
利用者調査をする前に、作り手の知識や想定を整理したものは「プロトペルソナ」と呼ばれます。実際のインタビューや観察に基づくペルソナとは、根拠の段階が違います。NN/gも、この違いを区別しています。ペルソナの三つの作り方
仮の人物像を作ること自体は、考えを共有する入口になります。ただし、仮説を利用者の事実として扱うと、自分たちの思い込みを繰り返すことになりかねません。
「短時間で遊びたいはず」なら、実際には何分くらい遊ぶ場面があるのかを聞く。「ヒントを嫌がるはず」なら、どこで、なぜ開いたのかを見る。このように、設定ごとに確かめたい問いを添えると、調査につなげやすくなります。
聞くときは、直近の行動をたどる
「こんな機能があったら使いますか」だけでは、実際の使い方が見えにくいことがあります。自分で質問を作るなら、具体的な場面を尋ねてみましょう。
- 最後にスマートフォンでゲームを遊んだのは、どんなとき?
- 途中でやめたなら、何がきっかけだった?
- わからないとき、まず何をした?
- もう一度遊ぶとき、前の続きに迷わず戻れた?
質問の答えを一人の意見だけで全体に広げず、似た目的や困りごとがどのように現れるかを整理します。想定と違う行動が見えたら、利用者をペルソナに合わせるのではなく、人物像のほうを見直す材料にできます。
人物紹介で終わらせない
機能を選ぶとき、説明を書くとき、最初の画面を作るときに、人物像を使って判断を残しましょう。「この人の、この場面で、何を助けるための変更か」が言えれば、ペルソナが設計の道具になります。
具体的な設計へ進むなら、謎解きのヒントを三段階で作る方法も参考にできます。

