ランチェスターの法則:弱者が強者に勝つためには?(知的な小話153)

ここでは、日常会話で使える知的な小話と、実際の使用例を紹介します。

ランチェスターの法則とは

ランチェスターの法則とは、イギリスの航空技術者であるフレデリック・ランチェスターが発表した、戦いにおける戦闘力についての法則です。

ランチェスターの法則は、狭い範囲で戦う原始的な接近戦に当てはまる第一法則と、広い範囲で戦う近代的な遠隔戦に当てはまる第二法則から成ります。

ランチェスターの第一法則

ランチェスターの第一法則は、1対1の一騎打ちや、狭い範囲の局地戦など、中世ヨーロッパや戦国時代のような戦いで適用されます。

法則の内容は「戦闘力 = 武器効率 × 兵力数」です。

中身は非常に単純で、同じ武器の強さなら兵力が多い方が勝ちますし、同じ兵力数なら武器が強い方が勝ちます。

使える兵士がたくさんいればそれに越したことはありませんが、兵力が少なければ、武器や兵士の質を上げることを考える必要があるということです。

織田信長が長篠の戦いで火縄銃を使い、武田軍を圧倒したのが非常にわかりやすい例でしょう。

ランチェスターの第二法則

ランチェスターの第二法則は、ロケットランチャーの打ち合いや、戦闘機同士の戦いなど、近代的な戦争で適用されます。

法則の内容は「戦闘力 = 武器効率 × 兵力数の2乗」です。

近代的な戦闘では、武器の力が非常に大きいので、兵力の差が如実に表れます。

Aチームが5人、Bチームが3人で、互いに同じ遠距離兵器を使って戦う場合を想定してみます。

Aチームは5人おり、Bチームの3人から攻撃を受けるため、1人当たりのダメージは、3/5となります(攻撃数×狙われる確率)。

Bチームは3人おり、Aチームの5人から攻撃を受けるため、1人当たりのダメージは、5/3となります。

AチームとBチームのダメージの比率を見てみると、「3/5:5/3」、つまり「9:25」=「3の2乗:5の2乗」となっていることがわかります。

このように、武器効率が同じだと仮定した場合、遠距離戦では戦闘力に兵力の2乗分の差がつくことがわかります。

ビジネスへの応用

ランチェスターの法則はもともとは戦闘力に関する法則ですが、弱者が強者に勝つためのビジネス戦略として役立てることもできます。

小さな企業が大企業と競争する際、普通に戦っても圧倒的な規模の差を前に、勝ち目がありません。

特に、ランチェスターの法則によると、広範囲の戦いでは兵力の差が戦闘力の差に如実に表れます。

そうした場合に、弱者が強者に勝つために取れる戦略は、狭い範囲に戦力を集中して戦うことです。

例えば、大手のコンビニチェーンが全国展開をするのに対抗して地域密着型の店舗を出店したり、人気のレストランに対抗してハンバーガーの専門店を出店したりするようなことが考えられます。

普通に戦っても勝ち目はないので、狭い領域に全力を注ぎこんで、その分野でだけでも勝利を勝ち取るのが、弱者の取れる唯一の戦略なのです。

こうした狭い範囲に力を集中する弱者の戦略をランチェスター戦略と呼びます。

日常会話での使用方法

「どうせテストで良い点取れないから家庭科だけめっちゃ勉強したわ」

「ランチェスター戦略かよ・・・」



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