エンダウド・プログレス効果:何事もとりあえず始めるべき?(知的な小話138)

ここでは、日常会話で使える知的な小話と、実際の使用例を紹介します。

エンダウド・プログレス効果とは

エンダウド・プログレス効果とは、アメリカの行動経済学者であるヨセフが提唱した、人は目標を達成しようとする際、ゴールへの前進を感じるとモチベーションが向上するという心理現象です。

ヨセフは被験者を2つのグループに分け、グループごとに洗車時に渡すポイントカードを変えるという実験を行いました。

Aグループには「8ポイントで満タンになるカード」を渡し、Bグループには「10ポイントで満タンになるが、最初から2ポイント貯まっているカード」を渡します。

どちらも8ポイントで満タンになるため、カードの本質的な意味は同じと言えます。

すると、Aグループでは19%の人がポイントカードを完成させたのに対し、Bグループでは34%の人がポイントカードを完成させました。

どちらも8ポイントが必要であり、ポイントを貯める労力は同じなのですが、Bグループのポイントカードには初めから2ポイント貯まっており、ゴールへの前進を感じやすいため、このような結果となったのです。

前進(progress:前進)を与えられる(endowed:授けられる)とやる気が出ることから、エンダウド・プログレス効果と呼ばれています。

人は物事が中断しているとそれを終わらせたくなるというツァイガルニク効果の影響があるのでしょう。

何事も始めてみることが大事

勉強やビジネスなど、何をしようかあれこれ考えているうちに時間だけが過ぎ、なかなか始めることができないという人も多いのではないでしょうか。

物事を始めるための第一歩を踏み出すのは勇気がいりますし、時間がかかるのも無理はありません。

そういう時は、どんな小さなことでもとりあえず始めてみることが重要です。

ほんの僅かでもゴールに近づけば、エンダウド・プログレス効果が働き、モチベーションが向上します。

テスト勉強をなかなか始める気にならなくても、ペンを持って机に向かう行為だけすれば、意外に集中できてしまうものです。

ゴールに近づけばやる気が上がるというエンダウド・プログレス効果を活かして、モチベーションの向上に役立ててみてください。

日常会話での使用方法

「キスだけのつもりだったのに、止められなくなっちゃった」

「エンダウド・プログレス効果じゃん」



本サイトで紹介している用語一覧は以下です。



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