学習性無気力:どうしようもない時は諦めが肝心?(知的な小話137)

ここでは、日常会話で使える知的な小話と、実際の使用例を紹介します。

学習性無気力とは

学習性無気力とは、人や動物は、長期間回避が困難なストレスを受け続けると、その状況から抜け出すための努力を諦めてしまうという現象です。

アメリカの心理学者であるマーティン・セリグマンは、犬を3つのグループに分けて電気を流し、その時の回避の行動を観察しました。

Aグループの犬には電気を流しますが、首を振ると電流を止めることができます。

Bグループの犬には電気を流し、何をしても電流は止まりません。

Cグループの犬には電気を流しません。

こうした事前準備を繰り返し、犬に電流について学習させます。

その後、全てのグループの犬に、首を振ると電流が止まる状態にして、電気を流します。

すると、AグループとCグループの犬は、10回中8回電流を止めることに成功しますが、Bグループの犬は10回中3回しか電流を止めることができませんでした。

本来ならば首を振るだけで電流を止められるにもかかわらず、一度無気力感を学習してしまったBグループの犬は、電流を止めようとする行為を諦めてしまうのです。

このことから、一度現状を変えられないという無気力感を覚えてしまうと、現状を変えようとする気力を失ってしまうことがわかります。

思考停止で諦めてはいけない?

こうした現象は、人間にも当てはまります。

例えば、ブラック企業などの抜け出しにくい環境で、低賃金や長時間労働、上司のパワハラといったストレスを受け続けると、人は学習性無気力に陥ります。

本来ならすぐにでも転職すべきにも関わらず、そうした過酷な労働条件を受け入れてしまい、なかなか退職できずに鬱になってしまう人も少なくありません。

最悪の場合、過労死してしまうこともあるでしょう。

そこまでして働く価値のある会社などあるはずないです。

自分の現状がつらいと感じた時は、回避不能な電気を流されて無気力感を学習してしまった犬と同じ状態になっていないか、自分を客観的に見つめなおすことが重要です。

本来なら回避可能であるストレスを受け入れてしまわないように注意しましょう。

自分を偽って現状を正当化し続けようとする心理効果である認知的不協和も、学習性無気力と似たような現象と言えます。

日常会話での使用方法

「くそー、10人連続で振られたけどまだ頑張るぞ!」

「よく学習性無気力にならないな」



本サイトで紹介している用語一覧は以下です。



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