ここでは、日常会話で使える知的な小話と、実際の使用例を紹介します。
カニバリズムとは
カニバリズムとは、人間が人間の肉を食べる行為や、その文化・習慣のことを指します。
また、広義には同じ種内での捕食(=共食い)全般を意味します。
オスのカマキリが、交尾の後にメスのカマキリに食べられてしまうという話は非常に有名ですね。
文化としてのカニバリズム
パプアニューギニアに住む少数民族であるフォレ族には、葬儀の際に死者の肉を食すという風習がありました。
亡くなった親族や知人の肉を食べることで、魂を受け継ぐことができると考えていたようです。
死体をそのまま土に埋めてしまったり、炎で燃やしてしまったりすると、後に何も残らなくなってしまうため、それを惜しんだのでしょう。

ところが、死者の肉を食べるというフォレ族の習慣は、伝染病を広げるための経路となってしまいました。
かつてパプアニューギニアでは、体が震えて制御が効かなくなり、発症から3ヵ月から2年程度で死に至ってしまうクールー病という病気が流行しました。
クールー病は感染性の病で、亡くなったクールー病患者の肉を食べたことで、その人までクールー病にかかってしまうという連鎖が起きてしまったのです。
フォレ族によるカニバリズムは、現在は行われていないようです。
非常事態でのカニバリズム
文化や宗教の理由とは別に、非常事態にやむを得ずに行われるカニバリズムもあります。
1972年に、 ウルグアイの571便機がアンデス山脈に墜落するという航空事故がありました。

乗っていた45人のうち29人が死亡したのですが、16人は山の中で72日間のサバイバル生活を超え、生き残ることに成功しました。
高度3000メートルを超える雪山の中に食べられるものがあるはずもなく、遭難してすぐに食料は尽きてしまいます。
しかし、乗客は死亡した乗客の肉を食べることを決意し、何とか生き延びることができたのです。
この奇跡的な生還は大きな注目を浴びましたが、同時に人肉を食べて生き残ったという行動は物議をかもすことになりました。
この例以外にも、飢饉や戦争などによる食料不足によるカニバリズムは歴史上世界各地に見られます。
猟奇的嗜好としてのカニバリズム
文化的な背景や、緊急事態という訳ではなく、猟奇的な趣味嗜好として行われるカニバリズムも存在します。
実際に殺人をし、カニバリズムをした人物として最も有名なのは、アメリカ史上最悪の殺人鬼と言われるアルバート・フィッシュでしょう。

彼は1910年から1934年までの間に400人を殺したと自供しており、犯行が満月の日に行われたことが多かったため、「満月の狂人」とも呼ばれています。
彼は1934年に逮捕され、1936年に電気椅子で死刑になっています。
また、映画や小説などのフィクションでも、カニバリズムに関する描写はしばしば行われ、映画『羊たちの沈黙』に登場するハンニバル・レクターはカニバリズムを行う連続殺人者として有名です。
日常会話での使用方法
「あいつ、いつも自分の爪かじってるな」
「カニバリストじゃん・・・」
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