美人投票:コンテストの1位は1番美人ではない?(知的な小話75)

ここでは、日常会話で使える知的な小話と、実際の使用例を紹介します。

美人投票とは

美人投票とは、イギリスの経済学者であるケインズが提示した、市場における投資家の行動パターンを示すための例え話です。

100枚の写真の中から最も美人だと思う人に投票してもらい、最も投票が多かった人に投票した人達に賞品を与える投票ゲームがあるとします。

この場合、賞品を得るために最適な行動を考えます。

ここで、安易に自分が最も美人だと思う人に投票してしまってはいけません。

どれだけ自分にとって美人でも、他の人がその人に投票しないと意味がありません。

そのため最適な戦略は、他者が最も美人だと考えるであろうと予想される人に投票することです。

その結果、各人が自分は美人と思っていない人に投票してしまい、本当の意味で最も美人とは言えない女性がコンテストで優勝してしまう場合もあるのです。

当然ですが、ケインズは美人投票における最適な行動を力説したかったわけではありません。

ケインズは美人投票の例を通して、金融市場における投資家の行動について説明しようとしました。

株式市場を例に考えてみます。

一般的には、株で儲けようとした場合、業績が良い会社や将来性がある会社の株を購入することが望ましいと考えられます。

しかし、これは美人投票において、自分が美人だと思っている人に投票する行為に等しいです。

どんなに良い会社でも、他の投資家がその会社の株を購入しなければ株価は上がらず、意味がありません。

そのため、株式投資における最適な戦略は、美人投票の例と同様、皆が良い会社だと考えている会社の株を買うことです。

例え自分が良い会社だと思っていなくても、他の皆が株を買えば、株価は上がり、利益を得ることができます。

本当の意味での良い会社よりも、テレビやCMなどで盛り上がっている会社の株価の方が上がってしまうことも良くあります。

そのため、株式市場の勝者になるには、自分の思いよりも、周囲の人間がどう考えているかを推測し、行動することが重要なのです。

数当てゲーム

美人投票の類似問題として、数当てゲームというものを紹介したいと思います。

これは、私が大学で受けていたゲーム理論の最初の授業で実際に出題された問題です。

講義をしていた先生は、このゲームの勝者には成績を加点するという特典を付けていたため、非常に盛り上がりました。

これから授業を受けている全員(200人程度)に、0~100までの好きな数字を挙げてもらいます。

そして、全員の数字の平均値を出し、その平均値を0.7倍をします。

その計算結果に最も近い数字を挙げた人の勝ちです。

数字は小数点第2位まで記載可能です。


例えば、A、B、C、D、Eの5人がゲームに参加していて、それぞれ「10」「20」「30」「40」「50」の数字を提示したとします。

その場合、以下の図のように、平均値の0.7倍は「21」になるため、最も近い「20」を提示したBの勝ちになります。

自分ならどんな数字を挙げるか考えてみてください。

当たり前ですが、参加者の回答によって毎回答えが変わるので、正しい答えはありません。

しかし、考え方のアプローチは以下のようなものでしょう(細かい計算に意味は無いため、整数で考えます)。

①何も考えなければ、参加者の挙げる数字の平均値は「50」になるため、それを0.7倍した「35」が最も近い数字になるだろう。

②皆が同じ思考により、「35」が最も近い数字と考えるため、それを0.7倍した「25」が最も近い数字になるだろう。

③皆が同様に考えれば、「25」を0.7倍した「17」が候補になるだろう。

④以下続けて「12」「8」「6」・・・とどんどん小さな数字が候補なるはずだ。

このように、考えれば考えるほど小さな数字が候補に挙がり、全員が論理的に行動した場合、最終的には全参加者が「0」という答えを挙げることになります。

しかし、実際は全員が「0」を挙げるようなことはありません。

皆がこれぐらいで小さな数に進むのを止めるだろう、という点を見つけ出し、それより1回だけ多く0.7倍をした人が優勝となります。

一応回答と出すと、私が出席した講義での優勝者が書いていた数字は「12.19」でした。

どうやってこの数字を選んだのかは聞いていませんが、ピンポイントで当たりの数を狙い撃ちすることは不可能であるため、恐らく誕生日か何かを適当に書いたのではないかと推測しています。

私は数当てゲームに勝つことはできませんでしたが、ゲーム理論を実際に体験しながら学習できる、とても楽しい授業でした。

ちなみに、講義をしていた先生は、この数当てゲームを色んな場所で行なったそうですが、知能が高い集団ほど、書く数字の値が小さくなっていく傾向にあるそうです。

ゲーム理論に興味を持った方は、囚人のジレンマについて紹介している記事も読んでみてください。

日常会話での使用方法

「見て見て、俺の彼女!」

「美人投票で1位になれるかもね!」

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