自転車が壊れたあと、いつもの街に自転車屋がいくつもあると気づく。赤いものを探すつもりで部屋を見ると、今まで気にしていなかった赤い小物が目に入る。こうした体験は、カラーバス効果という言葉で紹介されます。
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変わったのは景色か、自分の注意か
カラーバス効果は、ある色やテーマを意識すると、それに関連する情報が目につきやすくなる体験を指す通称です。街の情報が急に増えたのではなく、自分が気づく情報の範囲が変わった、と考えられます。
関連する心理学の概念に選択的注意があります。APAの心理学辞典では、環境の一部の刺激に注意を集中し、ほかの刺激には向けない働きとして説明されています。
周囲の情報を全部同じように見ているわけではありません。必要なもの、探しているもの、意味を知ったものが、同じ景色の中から浮かび上がります。
身近な場所で、見るテーマを変えてみる
安全な場所で、手元や部屋にある「赤いもの」を三つ探してみてください。見つけたら、今度は「丸いもの」を三つ探します。同じ場所でも、視点を変えると別のものが候補になるでしょう。
この小さな遊びは、効果を測定する実験ではありません。物が増えたわけではないのに、探す目的によって見つけるものが変わる感覚を、試すためのものです。
赤い丸いもののように、両方の条件に入るものもあります。注目した条件に合うものが見えやすくなる一方、ほかの特徴は意識から外れることもありそうです。
願うだけで、結果が引き寄せられるわけではない
「アプリを作りたい」と思い始めたら、ゲームの画面や、使いづらい操作に目が向くようになった。その結果、制作の材料が集まった。こうした変化は、注意や行動の変化として考えられます。
ただし、思うだけで作品が完成したり、利益が発生したりすることとは別です。情報を見つけたあとに、比較する、作る、試す、直すという作業があります。
「引き寄せ」という言い方が励みになる人もいるでしょう。でも、願いがかなわなかった人を「信じる力が足りない」と責める根拠にはなりません。目的を持つことが、具体的にどんな観察や行動につながったかを見るほうが、次の一歩を決めやすくなります。
アイデアを集めるなら、問いを小さくする
「面白いゲームを作りたい」だけだと、何を見ればよいか広すぎます。「初めての人がルールを理解するまでに、何が表示されるか」と問いを絞れば、ボタンの文字、最初の一問、失敗後の説明などを観察できます。
- テーマを一つ決める:たとえば「待ち時間の見せ方」。
- 見つけた例と、よいと思った理由を一緒に記録する。
- 自分の目的に合う点と、合わない点を分ける。
- 別の日には、違うテーマでも同じ画面を見る。
例を集めるだけでなく、理由まで残すと、そっくりに真似る以外の使い方ができます。短い待ち時間に合う表現が、長い処理でも使えるか、といった違いも考えられます。
見えやすくなった情報が、全体とは限らない
興味を持ったテーマの記事ばかり読むと、それが世の中で急に増えたように感じるかもしれません。検索やおすすめ欄の表示も変わるので、自分の注意だけが原因とは限りません。
「最近よく見かける」と「実際に増えている」は分けて考えられます。反対の例や、テーマに当てはまらない場面も探すと、自分の気づきの範囲が少し広がります。
見る目的を決めることは、アイデアを発見する助けになります。その目的が見落とすものも、ときどき確認する。日常の景色を制作の材料にするときに、使いやすい姿勢です。
音への注意はカクテルパーティ効果、偶然の発見を活かす話はセレンディピティ、制作の入口は謎解きアプリの設計へどうぞ。
