中国語の部屋:人間はただのプログラム?(知的な小話22)

ここでは、日常会話で使える知的な小話と、実際の使用例を紹介します。

中国語の部屋とは

中国語の部屋とは、アメリカの哲学者ジョン・サールによる、思考や意識についての思考実験です。

ある部屋の中に、英語しか理解できない男を閉じ込めます。

この部屋には外部と紙をやり取りするための穴が1つだけ開いており、この穴を通して中国語の書かれた紙が1枚差し入れられます。

中の男は中国語は理解できませんが、部屋には大量のマニュアルがあり、中国語の羅列にどのような文字を書いて返事すべきかが全て書かれています。

中の男は、このマニュアルに従い、外から差し入れられる紙に返事をする作業をひたすら繰り返します。

すると、この部屋には英語しか理解できない男が住んでいるだけですが、部屋の外にいる人間は、「この部屋には中国語を理解する人が住んでいる」と考えるようになるのです。


中国語の部屋は、人間に当てはめて考えることもできます。

あなたの身の回りにいる人たちは、普通に日常生活を送っており、あなたが話しかけると、にこやかに受け答えをしてくれるでしょう。

しかし、この返答は中国語の部屋のように、何の意味も持たない、マニュアルやプログラムに沿った受け答えなのかもしれません。

この記事を書いている私も含め、あなたの身の回りの人も全員、感情を持たず、電気信号に従って機械的な反応を繰り返す、中国語の部屋にいる男である可能性は誰も否定できないのです。

以下の記事で紹介している哲学ゾンビも、外部からは人間の内面を確認できないという点で、同じような思考実験です。

解説

この思考実験は、コンピュータ上で動くプログラムの比喩として良く用いられます。

プログラミングコードに従って機械通りに動くコンピュータは、何も考えたり理解したりせずに人と対話する、中国語の部屋の男と同じように思えます。

確かに、一昔前の会話プログラムのような、定型的な入力に対し、決まった内容を出力するプログラムは、中国語の部屋と同様だと言えるでしょう。

しかし、Appleの「Siri」や、MicroSoftの「りんな」のような最近の会話可能なAIは、大量の会話データからパターンを学習し、自分で判断・選択し返答をします。

これは通常の人間の会話の学習パターンと同じように見えます。

こうしたAIまで、中国語の部屋と同様に、「機械的な」反応としてしまうと、人間の会話まで中国語の部屋とみなされてしまうのではないでしょうか。

かといって、AIに人間と同様の意識や思考があると考えるのも無理があるように思えます。

また、逆に、人間の思考や意識というものも幻で、ただの脳に流れる反射的な電気信号を意識と錯覚しているだけであり、人間側も中国語の部屋の男と同様だと考えることもできるかもしれません。

意識や思考についての定義は不明確で、考え始めると眠れなくなりそうです。

日常会話での使用方法

「Siriは凄いな。まるで本当に生きてる人間と会話してるみたいだ」

「それは中国語の部屋だよ」

漫画でおさらい

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