便器の蜘蛛:本当の優しさって何?(知的な小話38)

ここでは、日常会話で使える知的な小話と、実際の使用例を紹介します。

便器の蜘蛛とは

便器の蜘蛛とは、他者が本当に望んでいることを知ることの難しさを問いかける思考実験です。

ある男がトイレで1匹の蜘蛛を見つけます。

男は便器の上にいる蜘蛛を可哀そうに思い、蜘蛛を捕まえて外に出してあげようとします。

しかし、蜘蛛を手に取ろうとした時に、誤って潰してしまい、蜘蛛を殺してしまいます。

男は好意から蜘蛛を救い出そうとしたのですが、結果として蜘蛛は死んでしまいました。

この思考実験は、他者が本当に望んでいることを知ることの難しさを問いかけます。

男にとって、蜘蛛は便器の中で暮らす哀れな存在でしたが、蜘蛛にとっては便器の中でゆっくり暮らし続けるのが幸せだったのかもしれません。

教育熱心な母親は子供の将来のためを思って、毎日のように塾に通わせますが、それが本当に子どもにとって良いことなのかはわからないのです。

子供が反動で不良になってしまうかもしれませんし、良い大学に入って安定した暮らしを手に入れるよりも、本当はもっと別のことに挑戦したいのかもしれません。

その他の例

便器の蜘蛛では、男の親切心から生まれたお節介により、蜘蛛が死んでしまいました。

その他の日常で発生しうる便器の蜘蛛的シチュエーションを紹介します。

①宿題を代わりにやってあげる
学校で、宿題の問題が解けない友人のために、答えを教えてあげるような状況は良く目にすると思います。
しかし、その場は解決しても、友人は内容を理解しないまま次に進んでいってしまうため、長期的には友人にとって悪い影響を与えます。

②サプライズの誕生日パーティを開く
友人のために、サプライズパーティを開く状況があります。
企画者側は、友人が喜ぶことを想像して、色々な仕掛けを施しますが、本当は友人は騒いだり目立ったりするのが嫌いで、そうした企みは避けたいかもしれません。

③自殺志願者を止める
目の前に、自殺しそうな人がいたら、多くの人は止めようとすると思います。
しかし、その人は何か人生において本当に苦しい思いをし、冷静に判断した上で、自殺という手段が最適だという結論を出したという可能性もあります。
その場合、自殺を止めるのが良いこととは言えないのかもしれません。

④手作りのお菓子をあげる
本人は美味しいお菓子を他の人にも食べてもらいたいという善意で作るのかもしれませんが、人が作ったものをあまり食べたくない人もいるので注意してください。

このように、相手のためを思っての行為でも、相手のためにならないような状況は良くあります。

便器の蜘蛛を殺してしまわないためにも、お節介には注意が必要です。

また、他人の考えがわからないことを示す思考実験には、以下の記事で紹介している「カブトムシの箱」もあります。

日常会話での使用方法

「あなたのためを思ってゲームを全部捨ててあげたわよ」

「それは便器の蜘蛛を殺してるのと一緒だ!」

本サイトで紹介している用語一覧は以下です。

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