双子のクローン赤ちゃん:自由意志は存在する?(知的な小話45)

ここでは、日常会話で使える知的な小話と、実際の使用例を紹介します。

双子のクローン赤ちゃんとは

双子のクローン赤ちゃんとは、人間に自由意志があるのかを問う思考実験です。

自由意志は、自分の行動や選択を、自発的に決定することができる状態を指します。

我々は、自分の考えに則って自由に行動をしているように思えますが、実はそれは自分の意志で決めたことではなく、環境などの外部的な要因によって決めさせられたものかもしれない、というのがこの思考実験の問いかけです。


クローンの双子の赤ちゃんを作り出します。

この赤ちゃんは2人とも原子レベルで全く同じ構成をしているとします。

それぞれの赤ちゃんを、全く同じ環境で全く同じ刺激を与えて育てます。

その時、双子の赤ちゃんは全く同じ行動をするでしょうか?

ここで、もし同じ行動をするのであれば、人間の行動は、生まれながらの遺伝子や環境によって決まることになります。

つまり、行動に自分の考えが入る余地はなく、人には自由意志が存在しないことになります。

一方で、もし双子の赤ちゃんが違う行動をするならば、心や意志で人間の行動が決まることになり、人には自由意志が存在することになります。

私たちに自由意志が無く、人間の行動が遺伝子や環境によって決まるとすれば、この世に人間の心によって生み出される不確定なことが起きる予知は無く、未来は既に決まっていることになります。

刑法と自由意志

法律は、人が自由意志を持つという前提の下に作られています。

人が自らの意志で、悪意を持って犯罪行為を行った場合に、刑法による処罰が行われます。

逆に言えば、回避不能な状態で人を殺めてしまった場合(例:正当防衛)や、責任能力のない心神喪失者による犯罪行為は罰せられません。

人が回避可能な状況にも関わらず、自分の意志決定によって悪いことをした場合に、それを処罰をするのが刑法なのです。

この意味で、刑法による処罰は、人が自由意志を持っていることが前提となります。

人が自由意志を持たないと仮定し、遺伝子や環境といった外部的な要因によって意思決定を行い、罪を犯した場合は、ある意味ではその人に犯罪行為を回避する方法が無く、罰する合理的な理由がありません。

そのため、自由意志の存在が否定された場合、刑法は理論の土台そのものが崩れ去ってしまうという、非常に不安定な状態にあります。

日常会話での使用方法

「双子の赤ちゃんが全く同じ行動をするならば、俺が今ニートであることも初めから決まっていたことになる」

 「屁理屈はいいから働きなさい」



本サイトで紹介している用語一覧は以下です。



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です