限界効用逓減の法則とは?「もう一つ」の満足が小さくなる仕組み

のどが渇いているときの一杯は、とてもありがたく感じます。でも、十分に飲んだあとで同じ一杯を出されても、最初ほどはうれしくないかもしれません。限界効用逓減の法則は、同じものを追加していくと、「もう一つ」から得られる満足が小さくなる、という考え方です。

「限界・効用・逓減」を分けるとわかりやすい

読み方は「げんかいこうようていげん」です。経済学で使う限界は、ここでは限界まで我慢することではなく、追加の一単位を意味します。効用は、その人にとっての満足や望ましさ。逓減は、だんだん減ることです。

つまり、「追加の一単位から得る満足が、だんだん小さくなる」と読めます。OpenStaxの経済学の説明でも、財を追加していくと、その追加分から得る効用が小さくなる形で説明されています。

全部の満足と、追加分の満足は違う

説明用の架空の数値で、飲み物を追加する場合を考えます。効用を実際に測ったデータではなく、違いを見るためのモデルです。

杯数全部で得た満足(総効用)追加の一杯から得た満足(限界効用)
0杯0―
1杯5050
2杯8030
3杯9010

全部の満足は50、80、90と増えています。しかし、追加分の満足は50、30、10と小さくなっています。「限界効用が減る」は、すぐに「全体の満足が減る」という意味ではありません。

さらに飲み過ぎて不快になるなら、追加分がマイナスになる場面も考えられます。最初にうれしかったものでも、量やタイミングによって意味が変わります。

同じ品物でも、必要な状況で満足は変わる

一つも持っていない充電器と、すでにいくつも持っている状態での充電器では、ありがたさが違うかもしれません。次の一つが予備として役立つのか、保管場所を増やすだけなのかは、暮らしの状況によります。

ただ、すべての追加がいつでも小さくなるとは限りません。集めているセットの最後の一つが、特別にうれしいこともあります。品物の組み合わせ、時間、好みをそろえたうえで考えることが大切です。

金額の期待値と、本人の満足は別のもの

架空の二つの選択肢を比べます。一つは10%で11億円、90%で0円。もう一つは必ず1億円を受け取るものです。費用はないとします。

金額の期待値は、前者が11億円×10%=1.1億円、後者が1億円です。平均的な金額だけなら、前者が大きくなります。

しかし、追加のお金から得る効用が小さくなるモデルなら、11億円の効用は1億円の効用の11倍とは限りません。確実に得られることを重視し、後者を選ぶ考え方もあります。期待金額と、結果の効用を確率で重み付けした期待効用は、比べているものが違うのです。

どちらを選ぶかは、現在の資産や目的、本人の好みにも関わります。「期待値が大きいから全員にとってよい」とも、「限界効用が減るから全員が同じ選択をする」とも言えません。詳しくは期待値と効用の違いでも考えています。

ゲームの問題を増やすときにも「次の一つ」を見る

ゲームの問題が少ないと、すぐ遊び終わってしまいます。追加の問題には価値があります。一方で、似た問題をただ並べ続けると、最初ほど新鮮ではなくなるかもしれません。

ここで「量を増やす意味がない」と決めるより、次の一問で何が増えるかを考えます。新しい見方を試せるのか、前の問題で学んだことを使えるのか、別の難しさがあるのか。遊ぶ人にとっての追加分を見ると、問題数だけでは見えない工夫ができます。

画面の機能も同じです。ボタンを一つ増やすことで便利になる場合もあれば、探す手間が増える場合もあります。追加の利益と、追加で生まれる負担を並べると、何を残すかを考えやすくなります。

「好きだから全部」から、ちょうどよい量へ

好物、趣味の道具、自由な時間。好きなものでも、全部をそれだけにすると、ほかに必要なものが足りなくなることがあります。限界効用逓減は、好きか嫌いかの二択を、どれくらい追加するとよいかという問いに変えてくれます。

買い物や制作で迷ったら、「もう一つ増やすと、何がうれしくなるか」を考えてみてください。全体を大きくすることと、次の一つをよくすることの違いが、見えてくるはずです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です