仕事を分担したら、同じ作業を二人が進めていた。反対に、誰も担当しない作業が残っていた。こんな漏れと重複を減らすための考え方が、MECEです。難しい英語の略語ですが、基本は「全体を、重ならないように分ける」ということです。
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MECEは「漏れなし・ダブりなし」
MECEはMutually Exclusive, Collectively Exhaustiveの略です。前半は各部分が互いに重ならないこと、後半は各部分を合わせると全体を覆うことを表します。
バーバラ・ミントの説明を紹介したマッキンゼーのインタビューでも、考えを重複せず、全体を尽くす部分へ分ける原則として扱われています。日本では「ミーシー」と呼ばれますが、ミント自身は一音節で発音しています。ミントのインタビュー
私がITコンサルタントの入社研修でロジカルシンキングを学んだときも、初めに出てきた考え方がMECEでした。言葉を覚えるより、身近な分け方を一つ直してみると、意味がつかみやすくなります。
年齢の分け方で、漏れと重複を見る
参加者の年齢が全員わかっていて、満年齢の整数で集計する場面を考えます。
| 分け方 | 問題 |
|---|---|
| 20歳未満/30歳以上 | 20〜29歳が漏れる |
| 20歳以下/20歳以上 | 20歳が両方に入る |
| 20歳未満/20歳以上 | 全員がどちらか一方に入る |
「未満」と「以下」の違いは小さく見えても、集計では大きな違いになります。20歳の人を実際に置いてみれば、境界の重複をすぐ発見できます。
年齢不明の人も含める集計なら、「年齢不明」の扱いも必要です。MECEかどうかは、分類名だけでなく、何を全体としているかで決まります。
違う分類軸を混ぜると、重なりやすい
アプリへの問い合わせを「不具合」「Android」「要望」に分けると、Androidで起きた不具合が二つに入ります。「内容」と「利用環境」という違う軸を混ぜたためです。
たとえば、内容を「不具合の報告」「機能の要望」「その他」に分け、OSは別の欄に持たせれば、何を集計しているのかが明確になります。ただし、一通に不具合と要望が両方あるなら、そのままでは重なります。
この場合は、問い合わせを話題ごとに分けて管理するか、一通ごとの主分類を決め、補足タグを付けるかを選びます。何を一件として数えるかも、分け方の一部なのです。
「その他」があれば完成なのか
「その他」は、決めた項目に入らないものを受け止める箱になります。しかし、その箱に大半が入ってしまうと、何が起きているのか見えません。
分類できることと、判断に役立つことは別です。問い合わせを受付番号の奇数・偶数で分ければ重複も漏れもなくせますが、直すべき機能を見つける目的には役立ちにくいでしょう。
逆に、読書案を考えるときの「面白い」「短い」「友達と話せる」は、重なっていてもかまいません。発想を出す段階から、すべてを一つの箱に押し込める必要はありません。
MECEを使う4つの手順
- 対象を決める。誰の、いつの、何を分けるのかを書く。
- 目的を決める。数えたいのか、分担したいのか、問題を見つけたいのかを考える。
- 同じ軸で分ける。内容と年齢など、別の軸は別欄にする。
- 具体例を置く。境界にあるもの、複数の特徴を持つもの、情報不明のものを試す。
「MECEになっている?」は、相手の考えを採点する言葉として使うより、漏れや二重計上を一緒に探す問いとして使うと便利です。状況の整理を次の行動へつなげたいときは、SWOT分析も使えます。
分類は、何を決めるためかで変わる
本を「紙・電子・音声」に分けると、同じ作品が複数に入る場合があります。購入した商品形式を一件ずつ分類するのか、作品の提供形式を調べるのかで、重複の意味が変わります。分類対象・単位・目的を定めてから漏れと重複を調べるのが順序です。
