ここでは、日常会話で使える知的な小話と、実際の使用例を紹介します。
フレーミング効果とは
フレーミング効果とは、アメリカの心理学者であるダニエル・カーネマンとエイモス・トヴェルスキーによって発表された、同じ内容でも表現や提示の仕方によって、人の決断が変わってしまうという現象です。
フレーミング効果を示す際の有名な例として「アジアの疾病問題」があります。

現在アメリカでは、特殊なアジアの病気が流行しています。
この病気の結果、600人が死亡すると予想されています。
病気に対するワクチンは2種類あり、それぞれ以下の効果を持っています。
どちらのワクチンによる対策を選びますか?
ワクチンA:200人が助かる
ワクチンB:1/3の確率で600人が助かるが、2/3の確率で誰も助からない
あなたならどちらを選びますか?
実際にこの質問を問いかけてみたところ、ワクチンAを選んだ人が72%で、ワクチンBを選んだ人が18%でした。
そして、次は以下のような問いかけを行います。
初めの問いかけと同じ病が流行っており、600人が死んでしまう見込みです。
どちらのワクチンを選びますか?
ワクチンC:400人が死ぬ
ワクチンD:1/3の確率で誰も死なず、2/3の確率で全員死ぬ
次はどちらを選んだでしょうか。
結果はワクチンCを選んだ人が22%で、ワクチンDを選んだ人が78%でした。
お気づきの方もいるかもしれませんが、ワクチンAとワクチンC、ワクチンBとワクチンDは、表現が変わっているだけで内容としては同じです。
しかし、伝え方が変わっているだけで、人の決断は真逆の結果となっています。
初めの問いでは「助かる」というポジティブな言葉が使われており、2つ目の問いでは「死ぬ」というネガティブな言葉が使われています。
「助かる」という前向きな表現の場合は、確実にその可能性を得る選択肢(ワクチンA)が好まれ、「死ぬ」という後ろ向きな表現の場合は危険を冒してでもその可能性を避ける選択肢(ワクチンD)が好まれるため、このような結果となっています。
このように、伝え方を少し変えるだけで、人の印象や行動も変わってしまうのです。
以下記事で紹介しているシャルパンティエ効果も、人間の感覚の曖昧さを示す心理現象です。
その他の例
上記で紹介したアジアの疾病問題以外でも、伝え方で印象が変わる例はたくさんあります。
無敗のサッカーチーム

サッカーチームを強そうに表現したいとき、フレーミング効果が役に立ちます。
例えば、あるチームの成績が「1勝5分け」だった場合、弱くはないのでしょうが、あまり強いチームだという印象にはなりません。
しかし、「無敗のチーム」だと紹介されると、事実を述べていることには変わりはありませんが、先ほどより強いチームのような印象を受けます。
インターネット料金の割引プラン

インターネット料金の割引をお得に見せたい時も、フレーミング効果が使えます。
例えば、月当たり1000円の値引きを行うプランがあったとした場合、普通に「月1000円お得」と表現するよりも、「年間12000円お得」と表現された方が大きく値下げされたように錯覚します。
募金の依頼

募金を集める際にもフレーミング効果によるテクニックが利用できます。
実際にユニセフが使っている手法ですが、募金を集める時のターゲットを「恵まれないアフリカの子供たち」とするよりも、「アフリカに暮らす貧しい〇〇ちゃん」とした方が募金が集まります。
〇〇ちゃんもアフリカの子供たちの1人ですが、具体的な個人名や写真を出すことで、より人々の同情心をかきたてることができます。
日常会話での使用方法
「俺は今まで一度も告白に失敗したことがないぜ」
「告白したことないだけのクセに。物は言いようだな」
本サイトで紹介している用語一覧は以下です。