ランチェスターの法則とは?第一・第二法則の違いと、ビジネスで考える集中

人数を2倍にすると、力も2倍になるのでしょうか。それとも、もっと大きな差がつくのでしょうか。ランチェスターの法則が考えるのは、人数そのものだけでなく、それぞれの力がどのように働くかという違いです。

ランチェスターの法則とは

ランチェスターの法則は、戦闘における人数と損耗の関係を、一定の条件のもとで表した数学的なモデルです。航空技術者フレデリック・ランチェスターは、1916年の著書『Aircraft in Warfare』で、個別に向き合う場合と、集団として相手へ働きかける場合の違いを論じました。原著の第5章では、人数の二乗が現れるモデルと、その前提が説明されています。

日本では「第一法則」「第二法則」という形で紹介され、経営戦略を考える言葉としても使われます。まずは、元のモデルの違いから見てみましょう。

第一法則:人数に比例する考え方

第一法則は、線形法則とも呼ばれます。典型的なイメージは、一度に向き合える相手が限られる一対一の戦いです。人数が多くても、全員が同時に同じ相手へ力を発揮できるとは限りません。比較のための力は、人数×1人あたりの有効性に比例する形で表されます。

ここで大切なのは「昔の戦争なら必ず第一法則」という時代の区切りではありません。同時に力を働かせられる人数や、相手の捉え方など、モデルの条件です。

第二法則:人数の二乗が出てくる理由

第二法則は、二乗法則とも呼ばれます。相手の個々の対象を狙え、活動中の各人が一定の率で相手側を減らすと仮定すると、相手の損耗の速さは自分側の人数に比例します。人数の多い側は相手を早く減らし、その結果、受ける作用も減っていきます。こうした人数の変化を追うと、比較のための量に人数の二乗×有効性が現れます。

たとえば有効性が同じ場合、人数5と3の二乗は25と9です。この数字は、モデル内の優劣を比較する量です。「現実の成果が必ず25対9になる」「1人の能力が二乗になる」という意味ではありません。

比較第一法則第二法則
代表的な状況相手へ働きかけられる人数が限られる各人が相手側の個々の対象に働きかける
人数の扱い人数に比例人数の二乗が現れる
読むときの注意有効性や相互作用の仮定が変われば、結果も変わる

ビジネスでは「どこに集中するか」のヒントに

経営でいうランチェスター戦略では、小さな組織が、顧客・地域・用途などを絞って力を集中する考え方がよく紹介されます。ただし、商売は相手の人数を減らす戦闘ではありません。顧客の好み、価格、評判、継続利用などがあるので、軍事モデルの式から売上や市場シェアをそのまま計算することはできません。

役立つのは、「広く何でも提供するより、誰のどの困りごとを解決するかを決めよう」という問いです。個人でゲームを作るなら、「あらゆる人に向けた万能なゲーム」より、「短い待ち時間に1問だけ楽しめる謎解き」のように、遊ぶ場面を具体化する方法が考えられます。

絞れば必ず成功するわけでも、絞ることだけが唯一の戦略でもありません。その場面で本当に遊びたい人がいるか、最初の1問まで迷わず進めるか、遊んだ後にまた戻りたいかを確かめる必要があります。目的と強みを整理したいときはSWOT分析、ゲームの入り口を考えたいときは謎解きアプリの設計も参考になります。

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