ここでは、日常会話で使える知的な小話と、実際の使用例を紹介します。
独我論とは
独我論とは、自分にとって本当に存在していると確信できるのは自分の精神現象だけであり、それ以外のあらゆるものは疑うべき対象であると考える哲学的な立場です。
デカルトが『方法序説』の中で提唱した「我思う、ゆえに我あり」に代表される懐疑主義の考え方を出発点として生まれました。
デカルトの懐疑主義
デカルトが取っていた懐疑主義の立場では、確実でないものは全て疑っていくという考え方をします。
例えば、目の前に椅子があったとして、それが本当に実在するかは確実ではありません。
自分が見ていると思っているだけで、実は水槽に浮かべられて電極に繋がれた脳が存在していると思い込まされているだけなのかもしれません。
また、自分が見ている間は存在する椅子も、後ろを見ている間は消えてしまっているかもしれません。
他人についても同様です。
楽しく話をしていると思っている相手も、実は心の無い哲学ゾンビなのかもしれませんし、そもそも相手など実在せず、自分の脳が見ている幻覚なのかもしれません。
このように考えていくと、世の中の全てのものの存在が疑わしくなっていきます。
しかし、デカルトはそんな世の中で唯一信じられるものを発見します。
それは世の中を疑っている「自分」という存在です。
どんなに世界が疑わしくても、それを疑っている自分という存在がいることは、疑いようのない真実です。
デカルトは「我思う、ゆえに我あり」という言葉を残し、確実に信じられる自分という存在を元に、真理を追究していきます。
この世界に自分は独りぼっち?
こうしたデカルトの考え方を進めていき、世の中には自分しか存在しておらず、その他のものは自分の精神現象の表れに過ぎないという考えが独我論です。
世の中には唯一自分だけが存在するという考え方であり、唯我論とも呼ばれます。
アイルランドの哲学者であるジョージ・バークリーに代表される考え方です。
彼によると、全ての自分以外の存在は自分の知覚に過ぎなく、実在しないことになります。
自分の生活が全て周囲によって作られたもので、それを番組として放送しているという設定の映画である『トゥルーマン・ショー』のような世界観で面白いですね。
日常会話での使用方法
「今日この後、遊ぼうよ!」
「うるさい! どうせお前なんて実在しないんだろ!」
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