不老不死のパラドックス:不死の証明は不可能?(知的な小話69)

ここでは、日常会話で使える知的な小話と、実際の使用例を紹介します。

不老不死のパラドックスとは

不老不死のパラドックスとは、不老不死であることの証明は不可能だという逆説です。

ある不老不死の男がいたとします。

彼は、刃物で刺しても、首を絞めても、水中に沈めても死にませんし、寿命もありません。

しかし、この男が不老不死であるということを証明することは不可能です。

1億年生きたことで寿命が無いことを証明しようとしたところで、実は1億1年後には死ぬ体なのかもしれません。

心臓を滅多刺しにして死なないことを証明しようとしても、実はかかとが弱点で、かかとを刺されると死んでしまうかもしれません。

このように、死なないことをいくら証明しても、他の手段で死ぬ可能性が潰しきれない以上、不老不死だとは言い切れません。

「ない」ことを証明するのが不可能であるという点で、不老不死の証明も、「悪魔の証明」の1つと言えるでしょう。

不老不死は幸せか?

手塚治虫の描いた漫画に『火の鳥』という名作があります。

この物語には、不老不死の火の鳥(フェニックス)が登場し、その血を飲んだ人間は、不老不死になることができます。

漫画『火の鳥』はいくつもの独立して完結した物語から成るのですが、全ての話に火の鳥が登場し、それぞれの物語が絶妙に絡み合っています。

いくつもの物語の中で、多くの登場人物が火の鳥の生き血を飲むことに挑戦するのですが、大抵は上手くいきません。

その中で、『火の鳥』未来編に登場するヤマトという青年は、生き血を飲むことに成功します。

しかし、ヤマトの未来は悲惨なものでした。

火の鳥の伝説の通り、確かにヤマト自身は歳を取ることもなければ、死ぬこともありません。

ですが、友人や恋人など、周りの人間は寿命とともに死んでしまいます。

そして、いつの日か核戦争が勃発し、人類は滅びてしまいます。

そんな中でもヤマトは生き続け、これ以上ない孤独を味わいます。

そして人間でない動物が社会の頂点に立つことになるのですが、手塚治虫はその中で、ナメクジが知恵を持つ文明を描いています。

ヤマトは、ナメクジが文明を築き、かつての人間のように、戦争によって滅びゆく一部始終を見守ることになります。

最後のナメクジが死んでしまっても、ヤマトはまだまだ死ねません。

そして最後に、次の文明は、人間やナメクジのように、戦争という愚かな失敗をしないことを祈りつつ、物語が終わります。

このように、不老不死になったヤマトの未来は悲惨なものでした。

確かに死ぬのは嫌ですが、永遠に死ぬことができないのも、不幸なのかもしれません。

日常会話での使用方法

「不老不死になったらずっと年金貰えるのかな」

「もっと他に考えることあるだろ」



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