グレシャムの法則:腐ったミカンに注意せよ?(知的な小話55)

ここでは、日常会話で使える知的な小話と、実際の使用例を紹介します。

グレシャムの法則とは

グレシャムの法則とは、経済学における、貨幣の額面価値と実質価値に乖離が生じた場合、より実質価値の高い貨幣が市場からなくなり、実質価値の低い貨幣が流通するという法則です。

今と違って、昔は、貨幣は価値のある金属などでできており、貨幣それ自体がその額面通りの価値を持っていました。

例えば、1000円の貨幣は1000円分の価値のある銀で出来ているといった具合です。

しかし、貨幣を発行する際に、政府の財政悪化などで、銀の実物が無くなった場合、別の安価な金属を混ぜるなどして、貨幣はその額面以下で作られることになります。

その場合、1000円の貨幣が500円分の価値のある金属で出来ているということが起きます。

その結果、市場には1000円分の価値のある「1000円」と、500円分の価値のしかない「1000円」が混在することになります。

そうなると、人々は本物の銀で作られた価値の高い「1000円」は使用せずに取っておき、不純物の混じった価値の低い「1000円」を使用するようになります。

その結果として、市場に流通するのは質の悪い貨幣ばかりになるのです。

グレシャムの法則は「悪貨は良貨を駆逐する」と同義です。

グレシャムの法則と腐ったミカン

グレシャムの法則は、ミカンにも当てはまります。

たくさんのミカンが箱に詰められているとして、そのうち1つのミカンが腐ってしまうと、他のミカンも一緒になって腐り始めます。

そのため、腐り始めたミカンは、早めに処理してしまわなくてはなりません。


武田鉄矢主演のドラマの名作『3年B組金八先生』に、 こんなシーンがあります。

金八先生の持つクラスに、加藤優という不良の生徒がいました。

彼は素行が悪く、たびたび問題を起こしていたため、「このような腐ったミカンを放置していては、クラス全体が不良になってしまう」との理由で転校させられてしまいます。

そうした「大人」の対応に、金八先生は強く主張します。


「辛いことがあって、あちこちぶつかっていれば、そりゃどこか腐ってくる。だが私たちはみかんを作ってるのではない、人間を作っているのだ!人間の精神が腐るということは絶対ない!!」

金八先生は、道を踏み外した人間でも、再び輝けるのだということを教えてくれます。

ちなみに、私自身も、学生時代に部活をサボってばかりいたら、悪貨は良貨を駆逐するという理由で、部活を辞めさせられそうになったことがあります。

グレシャムの法則は、人間には当てはまらないと信じたいですね。

日常会話での使用方法

「お前みたいな腐ったミカンがいるとクラス全体の空気が悪くなる」

「グレシャムの法則だね」



本サイトで紹介している用語一覧は以下です。



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