新しいサービスが出ると、すぐ試す人もいれば、友人が使ってから始める人もいます。同じ便利さを伝えても、全員が同じタイミングで動くわけではありません。この違いから、新しいものの広がりを考えるのがイノベーター理論です。
イノベーター理論とは
イノベーター理論は、エベレット・ロジャースのイノベーション普及研究に基づき、新しいものを採用する相対的な時期から、人々を5つに分けて考える枠組みです。商品だけでなく、技術、考え方、実践などが広がる過程を扱います。
ロジャースの『Diffusion of Innovations』では、新しい考えが、情報を伝える経路と時間を通じて、社会の中へ広がる過程として説明されています。出版社の著者本文の抜粋で、この枠組みを読むことができます。
5つの採用者を比べる
| 分類 | 採用の時期や姿勢のイメージ |
|---|---|
| イノベーター | 新しいものを早い段階で試す |
| アーリーアダプター | 価値を見極め、早期に採用する |
| アーリーマジョリティ | 実例などを確認し、比較的慎重に採用する |
| レイトマジョリティ | 周囲で普及し、不確実さが減ってから採用する |
| ラガード | 従来の方法を重視し、採用が遅い |
これは人の優劣を決める分類ではありません。同じ人でも、音楽アプリは早く試し、仕事の会計ソフトは十分に確認してから替える、ということがありえます。費用、必要性、使える環境も違うので、性格だけで採用時期は決まりません。
2.5%や16%は、絶対的な市場法則?
よく紹介される割合は、イノベーター2.5%、アーリーアダプター13.5%、前期と後期のマジョリティ各34%、ラガード16%です。これは採用時期の分布を正規分布として区切るモデルの数字です。OpenStaxの教科書でも、5分類と割合が図示されています。
実際の市場が必ずこの割合になるわけではなく、16%に達すれば自動的に成功するとも言えません。対象とする人々をどう定めるか、何を「採用」と数えるかによっても、見える数字は変わります。アプリなら、名前を知った人、インストールした人、継続して使う人は、別々に考えられます。
キャズムは、関連する別の議論
キャズムは、ジェフリー・ムーアが、新しい技術の初期市場から主流市場へ移る際の難しさを論じた考え方です。新しさや将来像に期待する人と、実績や自分の用途での確実さを求める人では、選ぶ理由が違います。ムーア本人の書籍紹介では、この移行が説明されています。
ロジャースの分類と結びつけて紹介されますが、「普及率16%の壁」という一つの自然法則としてまとめると、違いを見失います。
アプリを伝えるなら、どんな不安に答える?
新しい仕組みに関心がある人には、アイデアや特徴が響くかもしれません。一方、友人と遊びたい人が知りたいのは、「何人で遊べる?」「何を入力する?」「始めるまでに何を用意する?」かもしれません。
ゲームの画像や遊び方を見せることは、そうした不確実さを減らす助けになります。「その場で大喜利」の紹介では、画面と遊ぶ流れを掲載しています。利用者を5つの箱へ固定するより、「今、この人が試すために足りない情報は何か」と考える方が、次の改善を見つけやすくなります。
