種類が豊富なお店には惹かれるのに、いざ買おうとすると迷ってしまう。そんな経験を考える入口が、ジャムの法則です。多くの選択肢が人を集めることと、実際に一つを選びやすいことは、いつも同じとは限りません。
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ジャムの法則とは、選択肢が多すぎる問題
「ジャムの法則」は、ジャムの販売実験で知られる選択肢の過多、チョイス・オーバーロードを紹介する通称です。選択肢が増えたときに、選ぶ意欲や決定後の満足が下がる場合がある、という問いを扱います。
シーナ・アイエンガーとマーク・レッパーの2000年の研究では、スーパーの試食台に6種類か24種類のジャムを並べ、立ち寄りや購入を調べました。表示は時間帯ごとに入れ替えられ、立ち寄った客には購入用の割引券が渡されました。
| 表示した種類 | 通りかかった客が立ち寄る割合 | 立ち寄った客が購入する割合 |
|---|---|---|
| 6種類 | 約40% | 約30% |
| 24種類 | 約60% | 約3% |
多いほうが立ち寄る人の割合は高く、少ないほうが立ち寄った人の購入割合は高い結果でした。30%と3%は、店に来た全員に対する割合ではありません。また、購入時に向かう売り場には、どちらの客も全体の品ぞろえがありました。
「6種類にすれば売れる」という決まりではない
この実験が示したのは、ある状況で起きた選択の難しさです。選択肢が多いと必ず売れなくなる、最適な数はいつも6、という普遍的なルールではありません。
シャイベヘネらの2010年のメタ分析では、研究による結果のばらつきが大きく、平均効果はほぼゼロでした。だから「多ければよい」も「少なければよい」も、数だけで決めるのは早そうです。
たとえば好みの味をすでに決めている人には、幅広い品ぞろえが助けになります。反対に「何が違うか分からない」「今日は急いでいる」人には、見分けるための情報や、入口となるおすすめが必要かもしれません。
選択肢を消す前に、違いを見えるようにする
架空のゲームに20のモードがあるとします。名前だけが並んでいたら、初めての人は何から遊べばよいか迷いそうです。けれど20モードそのものを削る以外にも、できることはあります。
- 「一人で」「友達と」「短時間で」のように目的から探せるようにする。
- 所要時間や人数を、同じ形式で比較できるようにする。
- 初回には基本の遊び方を案内し、他のモードへ後で進めるようにする。
- おすすめの理由を添え、自由に別の候補を選べるようにする。
機能を豊富に用意することと、初めの画面で全部を選ばせることは別です。入口を整理しながら、詳しく選びたい人には一覧を残す、という設計もできます。
アプリでは「開始まで」を見て試す
最初の画面を変えるなら、「ボタンが減ったから成功」と決めず、プレイ開始までに迷った場所を観察したいところです。目的のモードを見つけられるか、選び直せるか、説明を読んだあとに意図した遊び方に入れるかを確かめます。
少ない候補だけを目立たせて、必要な選択肢を見つけにくくしたら、常連には不便かもしれません。初めての人と、いつもの使い方がある人の両方で確認すると、画面の評価が具体的になります。
自分が迷うときは、比較する軸を先に決める
休日の予定なら「移動1時間以内」「予算の範囲」「雨でも楽しめる」のように、今回大事にする条件を二、三個挙げてみます。全部の候補を隅々まで比べるより、その条件を満たすものに絞ってから選ぶほうが、判断の理由を説明しやすくなります。
誰かの人生や恋愛を、ジャムと同じ仕組みだと決めつける必要はありません。この話から持ち帰りたいのは、選択肢の数を責めることより、選べる形に整える発想です。
画面で迷わせない工夫はゲームのルール説明、選び方が変わる問題はフレーミング効果でも紹介しています。
候補を減らさず、入口を分ける比較例
20冊の本を、全件の表だけで見せる場合と、「物語・科学・社会」で絞れる場合を比べてみます。冊数は変えず、探し始める負担を変えています。目的の本を見つけた割合、選ぶまでの時間、選び直しの回数を別々に見ると、単に「数が多いから失敗」と結論せずに済みます。
