一人のお客さんに丁寧に対応することは、その一人だけとの関係で終わるとは限りません。よかった体験を友人に話す人もいれば、困ったことを家族に相談する人もいます。ジラードの法則は、目の前の人の向こうにも人間関係が広がっている、と考える営業の発想です。
目次
ジョー・ジラードの「250人」という考え方
ジョー・ジラードは、米国で自動車販売に携わったセールスマンです。著書『How to Sell Anything to Anybody』には、250人のつながりを考える章があります。
ジラードは、結婚式や葬儀に呼ぶほど大切な人々を例に、一人の周りに250人のつながりがある、と述べました。ここから、よい対応も悪い対応も、その人を通じてほかの人へ伝わり得ると考えます。
250という数字は、すべての人の交友関係を測った普遍的な平均として扱うより、「一人の取引の先にも関係が続く」と思い出すための数字として捉えると役立ちます。お客さん一人を獲得すれば、自動的に250人が買ってくれるという計算ではありません。
口コミが伝えるのは、商品の説明だけではない
友人から「このゲーム、短い時間で一緒に遊べて面白かった」と聞くと、広告に書かれた機能一覧とは違う情報が得られます。どんな場面で使ったのか、何が面白かったのか、その人がなぜ勧めるのかがわかるからです。
ただし、友人の好みと自分の好みは同じとは限りません。人数が多い集まりに向くゲームが、一人で静かに遊びたい人には合わないこともあります。口コミには、具体的な体験や「どんな人向けか」が含まれていると、受け取る側が判断しやすくなります。
人数は単純に250倍にならない
仮に、10人がそれぞれ3人の友人にアプリを紹介したとします。単純に足せば30人に届く計算ですが、同じ友人が重なっているかもしれません。話を聞いても、今は遊ばない人や、対応する端末を持っていない人もいます。
だから、紹介された人数とインストールした人数は分けて考えます。さらに、インストールと継続して遊ぶことも違います。口コミの可能性を考えることと、実際の広がりを測ることの両方が大切です。
| 段階 | 知りたいこと |
|---|---|
| 紹介された | どのような場面や言葉で伝わったか |
| 紹介ページを見た | 遊び方や対応端末がわかったか |
| インストールした | ストアまで迷わず進めたか |
| 遊んだ | 期待した体験ができたか |
紹介しやすくするには、体験を短く伝える
アプリを作る側なら、「すごい機能がたくさんあります」より、「友人と一つのお題に回答して、面白い答えに投票するゲームです」の方が、何をするものか伝わりやすいでしょう。
紹介ページには、短い説明に加えて実際の画面や遊び方を置くと、初めて見る人がイメージしやすくなります。紹介する人も、リンクを一つ送れば説明を補えます。例えば「その場で大喜利」の紹介記事では、お題への回答や投票の画面から遊び方を見られます。
一方で、「高評価を付けてくれたら特典」といった形で感想を誘導すると、読む側は実際の評価がわからなくなります。使った人が、自分の言葉で合う点も合わない点も伝えられることが、紹介の信頼につながります。
目の前の一人への対応を整える
口コミを増やしたいとき、拡散の仕掛けだけを考えると、体験そのものが置き去りになりがちです。説明をわかりやすくする、困ったときの案内を用意する、約束した内容を守る。紹介される前の接点から整えたいところです。
ジラードの法則を「背後の250人を敵に回さないため」とだけ考えるより、一人が安心してほかの人に紹介できる体験を作る、と考える方が行動に結びつきます。人のつながりをさらに広く眺めたいなら、六次の隔たりも面白い話です。
