無限のサル定理:チンパンジーがノーベル文学賞ってホント?(知的な小話5)

ここでは、日常会話で使える知的な小話と、実際の使用例を紹介します。 

無限のサル定理とは

無限のサル定理とは、無限に近い時間や数を想定すればどんなことも実現可能になるという理論です

「無数のサルがタイプライターの鍵盤を無限の時間、ランダムに叩きつづければ、理論上シェイクスピアの作品を書くことも可能である」との想定から、このように呼ばれています。


無限のサルが鍵盤を叩くと、それぞれのサルはそれぞれのでたらめな文字列を書きます。

ほとんどのサルは何の意味も持たない文字列を書くだけですが、無限匹いれば、以下のように、偶然意味を持つ文字列を生み出すサルもいるはずです。

サル1匹目 → 「AAA・・・」
サル2匹目 → 「AAB・・・」
サル3匹目 → 「AAC・・・」
サル4匹目 → 「AAD・・・」
サル5匹目 → 「AAE・・・」
・・・
サル∞匹目 → 「Thunder and lightning. Enter three Witches・・・」
(シェイクスピア:マクベス第一幕)


無限のサル定理は、確率と無限の関係について考える際の重要な概念です。

無限の時間や数を考慮することで、どんなに低い確率の出来事であっても起こり得るということを示唆しています。

無限のサル定理の起源

無限のサル定理は、数学者エミール・ボレルが1913年に提案した「無限のサルの法則」として始まりました。

この法則は、確率論や情報理論における無限に関する概念を示すために使われました。

その後、様々な分野でこの理論が引用され、現在では哲学や科学、文学などの幅広い分野で議論の対象となっています。

無限のサルと生命の誕生

サルが英文学の名著を書き上げることに成功したように、無限に近い時間や数があれば、奇跡のように低い確率でも、起き得ることを示しています

例えば、この世界に最初の生命が誕生する確率は非常に低く、「25メートルのプールに時計をバラバラにして投げ入れて、水の流れだけで、時計がもう一度組み立てられる確率と同じ」と良く例えられます。

地球に生命が誕生したのは奇跡だと言う人もいますが、この無限のサル定理を考えると、実は奇跡ではなく必然なのかもしれません。

我々の生きる宇宙は、138億年前に誕生したとされており、大量の惑星を含む銀河の数は2兆個以上あるという説もあります。

このような無限に近い時間と数があれば(138億年の時間をかけて兆単位数のプールで時計の部品をかき混ぜ続ければ)、とんでもなく低い確率である生命の誕生が地球で発生しても不思議ではありません

我々が会える距離にいるかは別として、他の銀河の中の惑星に知的生命体が存在しても何ら不思議ではないと思います。

無限のサル定理の限界と批判

一方で、無限のサル定理には批判も存在します。

例えば、無限の時間や数があっても、実際にはある程度の制約が存在するため、すべてのことが実現可能とは限らないという意見もあります。

また、無限のサル定理が示すような偶然による創造性や可能性は、実際には人間の創造性や意図によってもたらされることが多いという指摘もあります。

実験:サルとタイプライター

2003年に、イギリスの動物園で実際にサル6匹を使ってタイプライターを打たせる実験が行われました。

結果として、サルたちが書き上げた文章は5ページに渡るほとんど「S」の字の文字列でした。

この実験は、無限のサル定理の現実的な検証として興味深いものであり、無限の時間が与えられた場合にどのような結果が得られるかについて考えさせられます。

無限のサル定理と創造性

無限のサル定理は、偶然や無意識による創造性について考える上で興味深い概念です。

この定理を通して、人間が意図しない偶然の出来事や、無意識の働きによって生み出される新しいアイデアや知識について考察することができます。

まとめ

無限のサル定理を考えることは、私たち自身の創造性や想像力を刺激する効果があります。

無限の可能性を追求することで、私たちがこれまで考えもしなかった新しいアイデアや発見に出会うことができるでしょう。

無限のサル定理は様々な分野での議論や考察に役立ち、無限の時間や数がもたらす可能性や創造性について考えることができる重要な概念です。

この定理を通じて、私たちは無限の可能性に対する理解を深め、新しいアイデアや発見に触れることができます。

本サイトで紹介している用語一覧は以下です。

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