夜の渋谷や銀座では、女性を口説こうと必死な男性が街中に溢れています。
その上、男性はすぐに浮気をし、誰とでも比較的簡単に体の関係を持とうとします。
経験人数が多いことを誇りに思っている男性も良く見かけます。
一方で、女性はいつも街では狙われる側です。
自分は一途に想っていても、男性に簡単に浮気をされ、悲しい思いをします。
経験人数が多いことがバレると、まるで犯罪者かのように非難を受けることもあります。
男性の場合だと、経験人数が多い人は歴戦の勇者のように称えられることがあるのに理不尽なように思えます。
もちろん、人によって差はあるでしょうが、性別によってこうした傾向があることに異論は無いと思います。
男性も女性も同じ人間であるにも関わらず、どうして性別によってこうした違いが生まれるのでしょうか。
ここでは、イギリスの生物学者であるリチャード・ドーキンスの名著『利己的な遺伝子』から男女の恋愛観の違いについて考えていきます。
人間の生物学的な目的
話の前提として、人間を含む全ての生物の目的は、「より良い子孫をより多く残すこと」です。
全ての生物は子孫を残すことで自分の遺伝子を次世代に継いでいます。
当然ですが、遺伝子を残すことに失敗した個体はそこで淘汰されます。
つまり、遺伝子を残す意思と能力を持つ個体だけがこの世界に生き残り、そうでない個体はどんどん消え去っていくことになります。
逆に言えば、今この世界で生きている私たちは全員、子孫を残そうとした個体の遺伝子を継いでいるわけですから、生まれた瞬間から子孫を残すことが目的だと本能にプログラムされているのです。
男は「量」の恋愛をしたら勝ち
そこで、生物の目的である「より良い子孫をより多く残すこと」を達成するために、男性が取るべき戦略は何でしょうか?
それは、とにかく多くの女性と体の関係を持ち、多くの子供を産むことです。
一見、最低な行為に思えますが、善悪の問題ではなく、それが生物学的に有利であるということです。
1人の子供を産むのに約1年の妊娠期間が必要な女性とは異なり、男性は射精さえすれば、期間を経ずに自分の子供を産むことができます。
そのため、理論上は相手さえ見つかれば、男性は1年の間に、何百人もの子孫を残すことができます。
そこで、男性としては、子孫繁栄という目的を考えた場合、あまり魅力的でない女性が相手でも、とりあえず体の関係を持ち、子供を産んだ方が良いのです。
1年に何人もの子供を残せるにも関わらず、1人の女性と付き合い続けるのは、道徳的には素晴らしいことですが、生物学的には失策なのです。
これが今も昔も男が浮気をし続ける理由と言えるでしょう。
女は「質」の恋愛をしたら勝ち
一方で女性側は、出産という行為に様々な危険が伴う上、1人の子供を産むのに約1年という妊娠期間が必要です。
そのため、女性は「より良い子孫をより多く残すこと」という目的において、男性のように残す子孫の「量」で勝負をすることはできません。
そこで、女性が取るべき戦略は、より質の高い子孫を残すことになります。
よって、女性は遺伝子を残すためのパートナーを慎重に選ぶ必要があります。
魅力的でない男性の遺伝子で妊娠すると、その間は子孫を残すことができなくなる上、質の低い遺伝子を残す羽目になり、非常に大きな損失となってしまいます。
また、女性はパートナーの男性に逃げられてしまってはいけません。
長い時間をかけて出産した労力を無駄にしないためにも、子供を男性と一緒に大事に育てていく必要があるためです。
そのため、すぐに浮気をする男性とは異なり、女性は1人の魅力的な男性をずっと愛し続けようとするのです。
結論
このように、浮気をする男性も、浮気を怒る女性も、どちらも生物学的本能に則って正しい振る舞いをしているのです。
性差によって生物学的な戦略に差があることを理解し、互いに歩み寄ることが大事だと言えるでしょう。