ここでは、日常会話で使える知的な小話と、実際の使用例を紹介します。
ラベリング理論とは
ラベリング理論とは、アメリカの社会学者ハワード・ベッカーによる、不良や犯罪などの逸脱行為は、他者からのラベリング(レッテル貼り)によって生み出されるという理論です。
例えば、素行に問題のある少年がいたとします。
この理論では、その少年が少しぐらい悪いことをしても、それだけでは本当の意味で不良ではありません。
ですが、周りの人が彼を素行の悪い非行少年だとラベル付けし、社会逸脱者として扱うことによって、本当に非行少年になってしまいます。
周囲の人間に、社会逸脱者としてのレッテルを貼られることで、少年は決めつけられたイメージをどんどん意識するようになり、実際に非行を行うようになってしまうのです。
周囲の期待によって学習成績が向上するとする、ピグマリオン効果と似たような働きと言えます。
ラベリング理論の活用
ラベリング理論は、マイナスの効果だけではなく、プラスの効果を与えることもできます。
以下は具体的なラベリング理論の活用例です。
・トイレの貼り紙
コンビニや駅などのトイレに「いつも綺麗に利用していただき、ありがとうございます」 といった貼り紙が良くあります。
こうした貼り紙を見ると、何となくトイレを綺麗に使わないと申し訳ないという気持ちになる人も多いのではないでしょうか。
これは、利用者に「トイレを綺麗に使う人」というラベリングを一方的に行うことで、トイレを丁寧に使わせようとする手法であり、非常に有効です。
ですが、ラベリング理論を知った上でこの貼り紙を見ると、思い通りに動くのが癪で、逆に小便をまき散らしてやりたい気持ちになってしまいそうですね。
・部下の教育
仕事などで、部下を教育する際も、ラベリング理論は活用可能です。
ある場面で部下が失敗をしたとしても「使えないやつだ」などと言ってはいけません。
ラベリング理論により、部下はやる気を無くし、本当に使えない部下になってしまいます。
そのため、ネガティブな言葉は避け、「本当は出来るやつなんだから次は頑張ろう」といった、ポジティブなレッテルを貼ることで、部下は前向きに成長しようと努力するようになります。
・血液型占い
血液型占いが当たるとされているのも、もしかするとラベリング理論によるものなのかもしれません。
良くA型は几帳面な性格で、O型は大雑把な性格だと言われます。
これは、本当に各血液型が持つ性質により、性格が形成されている可能性もありますが、「A型は几帳面だ」というラベリングにより、A型の人が几帳面に育っている可能性もあります。
そうなると、血液型が性格を決めているのではなく、血液型占いが性格を決めていることになります。
ニワトリが先か卵が先かのような話ですね。
このように、ラベリング理論は、良くも悪くも日常の様々な場面で効果を発揮します。
知らずに悪い方向に影響を与えてしまわないためにも、ラベリング理論について知っておくことは重要です。
日常会話での使用方法
「全然片付けしないし、あなたはホントにダメな子ね!」
「ラベリング理論によって本当にダメな子になってしまうよ」
本サイトで紹介している用語一覧は以下です。