バーナム効果とは
バーナム効果とは、誰にでも当てはまるような一般的な性格を表す文章を、自分にだけ当てはまるものだと錯覚してしまう心理学の現象です。
例として以下のような記述が挙げられます。
「あなたは正しい判断や正しい行動をしたのか後になって反省することがあります」
「あなたは仲の良い友人といる時間を幸せに感じます」
「あなたの願望にはやや非現実的な傾向なものもあります」
「あなたは一人でいると寂しいと感じることがあります」
「あなたは独自の考えを持っており、十分な根拠のない他人の意見を聞き入れません」
「あなたは自分の興味の無いことには、なかなかやる気が出ません」
こうした記述は誰にでも当てはまるものですが、実際に直接自分に向けて言われると、まるで自分のことを言い当てられているかのように勘違いしてしまうのです。
占い師の手法例
バーナム効果は、占い師が良く使うテクニックとして有名です。
この効果を悪用すると、誰にでも当てはまることを言っているだけにも関わらず、「この人は私のことを良くわかってくれている」と勘違いさせることも可能であり、占い師にとっては非常に都合が良いです。
例えば、占い師と女性客の間で以下のようなやり取りがあったとします。
占「何か悩み事がありますね?」・・・①
女「その通りです!」
占「それは職場や人間関係についてですか?」・・・②
女「良くわかりましたね! 実は彼氏と喧嘩していて・・・」
占「そうですか。あなたは普段は優しくても、怒ると簡単には相手を許さない傾向にあるみたいですもんね」・・・③
女「そうなんです! 私のこと何でもわかるんですね!」
何も考えずに見ると、占い師は本当に不思議な力で女性のことをズバズバ言い当てているように見えます。
しかし、実はこれはバーナム効果を応用したものに過ぎません。
①で占い師は女性客に悩み事があることを言い当てています。
→ そもそも占いに来ているのだから悩みがあるのは当然ですし、元々生きてて悩みが無い人間など滅多にいません。
②で占い師は女性客の悩みが人間関係にあることを当てています。
→ 人の悩みは大抵人間関係にあります。また、「職場や人間関係についての悩み」と幅広く問いかけているので、ほとんどの人間に当てはまるでしょう。
③で占い師は女性の性格を見事に言い当てています。
→ 「普段は優しくて、怒ると簡単には相手を許さない」は誰にでも当てはまる記述です。普段から怖い人はあまりいませんし、怒ったのに相手をすぐに許してしまう人もあまりいないでしょう。
このように、バーナム効果はインチキ占いや詐欺に悪用することも可能です。
こうした心理効果があることを知っておき、騙されないように気を付けましょう。
バーナム効果の起源
バーナム効果は、アメリカの心理学者、ポール・メイエルによって1948年に初めて報告されました。
彼は「Forer Effect」という名前でこの現象を紹介し、後にバーナム効果と呼ばれるようになりました。
この効果は、米国のショーマン、P.T.バーナム(Phineas Taylor Barnum)の名前にちなんで命名されたものです。
バーナムは、「すぐれた詐欺師」であり、「誰もが騙されることを望んでいる」という有名な言葉を残しています。
彼は、人々をうまく操る手法を熟知しており、その手法は今日のバーナム効果にも通じるものがあります。
バーナム効果と自己認識
バーナム効果は、自己認識と密接に関係しています。
自分に関する情報や評価を受け取ると、人はその情報を自己認識の一部として取り込み、自分自身についての理解を深めることができます。
しかし、バーナム効果によって、人は曖昧で一般的な情報を自分だけに当てはまるものとして受け入れてしまいます。
これは、自己認識の過程で、自分の特徴や性格に対する評価が曲げられることを意味します。
バーナム効果の心理的要因
バーナム効果が生じる背後には、いくつかの心理的要因が考えられます。
まず、人は自分に関する情報に敏感であり、他人の評価や意見に関心があるため、バーナム効果が生じやすくなります。
また、人は自分の性格や特徴に対して肯定的な評価を受けることを好みます。
したがって、肯定的な要素を含む一般的な記述に対して、自分だけに当てはまると考えることができます。
さらに、バーナム効果は、認知的なバイアスに関連しているとも言われています。
人は、自分に関する情報を選択的に注意し、自己に都合の良い情報を受け入れる傾向があります。
このようなバイアスは、バーナム効果が生じる原因の一つとなります。
バーナム効果への対処法
バーナム効果によって、人々は曖昧な情報を自分に特化した情報として受け入れてしまいがちです。
しかし、この効果に対処する方法はいくつか存在します。
- 情報の精査: 曖昧で一般的な情報に出くわしたときは、その情報が実際に自分に当てはまるのか、他の人にも当てはまる可能性があるのかを慎重に検討しましょう。情報を客観的に見て判断することが重要です。
- 情報源の信頼性を確認: 情報が正確であるかどうかを判断するために、情報源の信頼性を確認することが重要です。信頼性の低い情報源から提供された情報は、一般的で曖昧なものである可能性が高いです。
- 自己認識の向上: 自分の特徴や性格について深く理解し、自己認識を向上させることで、バーナム効果による錯覚に陥るリスクを減らすことができます。
- 認知バイアスへの意識: 自分が認知バイアスに影響されていることに気づくことで、バーナム効果を回避することができます。自分の判断や評価が客観的であることを確認することが大切です。
まとめ
バーナム効果は、心理学の現象であり、曖昧で一般的な性格を表す文章を、自分にだけ当てはまるものだと錯覚してしまいます。
この効果は、占い師や詐欺師が悪用することもあり、自己認識や認知バイアスに関連する心理的要因が存在します。
バーナム効果に対処するためには、情報の精査、情報源の信頼性の確認、自己認識の向上、認知バイアスへの意識が重要です。
これらの対策を講じることで、バーナム効果による錯覚から自分を守ることができます。
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