大きく当たるかもしれない企画と、小さくても成果が見込める企画。どちらを選ぶかは、『一番よい結果』を見るのか、『一番悪い結果』を見るのかで変わります。マクシミン戦略は、最悪の場合に得られる結果を比べる考え方です。
マクシミン戦略の意味
マクシミン戦略は、それぞれの選択肢で最も小さい利益を求め、その中で最も大きいものを選ぶ方法です。maxは最大、minは最小。『最小値を最大にする』と覚えると、手順が分かります。
ここでの利益は、金額だけでなく、点数や効用などの評価でも表せます。重要なのは、何を結果として数え、どんな状況を比べるかを先に決めることです。
二つの商品の例で計算する
架空の企画AとBを、次のように比べます。数字は考え方を説明するための仮の利益です。
| 企画 | うまくいった場合 | うまくいかなかった場合 | 最小の利益 |
|---|---|---|---|
| A | 150 | −100 | −100 |
| B | 10 | 10 | 10 |
Aの最悪の結果は−100、Bは10です。比べると10の方が大きいため、マクシミンではBを選びます。大当たりの可能性を足して平均するのではなく、結果の下限を重視しています。
期待値を求めるには、確率が必要
もし成功と失敗の確率を、どちらも50%と仮定したら、Aの期待値は150×0.5+(−100)×0.5=25です。Bは10。期待値だけを比べるならAが上になります。
ただし、成功と失敗という二つの結果を書いただけで、確率が半々になるわけではありません。Aの成功確率が20%なら、期待値は150×0.2+(−100)×0.8=−50に変わります。『結果を二つ並べたから、足して二で割る』という計算にはできません。
マクシマックス、ミニマックスとの違い
マクシマックスは、各選択肢の最大の利益を比べ、その中で最大を選ぶ考え方です。この例なら、150を得られるAを選びます。最良の結果へ注目する方法であり、それだけで人の性格を『強欲』と決める話ではありません。
ミニマックスは、損失などの最大値を最小にする考え方として使われます。利益の符号を反転して損失として表せば、マクシミンと対応させられる場合があります。名前を常に同義語として扱うより、利益と損失のどちらを、誰の立場で見ているかを確認します。
スタンフォードのゲーム理論の教材には、有限の二人ゼロサムゲームで、混合戦略まで認めた場合のマクシミンとミニマックスの関係が示されています。条件のある定理を、そのままあらゆる仕事の企画へ広げる必要はありません。
『最悪』の想定が抜けていないか
表ではBが必ず10になっていますが、現実では販売費や保守の負担が増えるかもしれません。予想した状況の外にも結果があるなら、表の下限は、本当の下限とは限りません。
- 選択肢に、延期や小さく試す方法も入っているか。
- 費用だけでなく、時間や失った機会も数えたか。
- 最悪の結果を、どんな条件から見積もったか。
- 確率が分かる部分と、分からない部分を分けたか。
アプリ開発なら、半年かけて全機能を作る案と、小さな試作品で遊びを確認する案を比べられます。最悪の結果を避けたいなら、選び方を変えるだけでなく、試す範囲を小さくして、選択肢そのものを変える工夫もあります。
マクシミンの使いどころは、『安全そうな方』を感覚で選ぶことより、下限と前提を見える形にすることです。ほかの人の選択が結果へ影響する例は、囚人のジレンマでも考えられます。
