ここでは、日常会話で使える知的な小話と、実際の使用例を紹介します。
全知全能のパラドックスとは
全知全能のパラドックスとは、できないことは何も無い「全能の神」の存在を想定した時に生まれる逆説です。
全知全能の神を仮定した場合、論理的な矛盾が生じてしまうことから、全能の神が存在しないことを証明しようとする際に用いられます。
例えば「全能の神は、自身も含めた他の誰にも持ち上げることのできない重さの石を作り出すことは可能か?」という問いをしたとします。
もし神が石を作ることができなければ、その時点で「できないこと」があることになり、その神は全能ではなくなります。
しかしその一方で、もし神が石を作ることができるならば、神はその石を持ち上げることが「できないこと」になり、全能でなくなるのです。

どちらに転んでも不可能なことがあるという結論にたどり着くため、全能の神は存在しないということになります。
こうしたロジックは、自己言及のパラドックスとも言われます。
以下で紹介している「人食いワニのパラドックス」も自己言及のパラドックスの一種です。
パラドックスの解消法
このように、全知全能の神を仮定すると矛盾が生じてしまいます。
しかし、無理矢理ですが、矛盾が生じないように全知全能の神を解釈することも可能です。
①神は石を作る時点では、誰にも持ち上げられない石を作ることができる
②神は持ち上げる時点で能力が向上し、石を持ち上げられる
このように考えれば、石を作った瞬間と、持ち上げる瞬間で、それぞれ神が全能であり続けることが可能です。
しかし、②の時点で石が持ち上げられるため、①で将来の存在も含めて誰にも持ち上げられない石を作ることはできていなかったという点で、やはりこの解釈は苦しいです。
やはり、論理的な整合性を考えた場合、全知全能の神の存在はあり得ないと言えそうです。
ですが、本当に全知全能の神ならば、論理の破綻を超越した、我々人間には想像もつかない方法でこのパラドックスを解決するのかもしれません。
神の存在証明は、全知全能のパラドックスとは逆に、神が実在することを論理的に証明しようとする方法です。
日常会話での使用方法
「やばい!EXILEまじ神!」
「では、EXILEに何物にも持ち上げることのできない石は作り出せるのか」
本サイトで紹介している用語一覧は以下です。