ここでは、日常会話で使える知的な小話と、実際の使用例を紹介します。
藁人形論法とは
藁人形論法(わらにんぎょうろんぽう)とは、議論をする際に、相手の主張を意図的に歪めて解釈し、それに対して反論をするという手法です。
例えば「子供は外で遊ぶべきだ」という主張があったとします。
それに対して「外で遊ぶと自動車事故に遭う可能性がある! あいつは子供が死んでもいいと考えているヒドイやつだ!」と返すような場合、藁人形論法を使っていると言えます。
「子供は外で遊ぶべきだ」という主張には、「運動して健康に育ってほしい」「外で友達をいっぱい作ってほしい」という思いはあるでしょうが、「子供が事故に遭っていい」という考えは本来含まれていないはずです。
しかし、「子供は外で遊ぶべきだ」という主張を意地悪に捉えると、相手を子供の命を大事に思わないヒドイ人だと非難することもできてしまうのです。
当然、こうした論法は議論のすり替えであり、詭弁に過ぎません。
しかし、議論を良く聞いていない第三者からは正しい主張だと勘違いされてしまうこともあるので、注意が必要です。
逆に言えば、頭の悪い相手を説得する場合や、話をあまり聞いていない第三者を説得する場合は、上手く使えば有用な論法になります。
ただし、真っ当な相手に正しく反論されると言い返せなくなってしまいますので、諸刃の剣と言えるでしょう。
(straw man:藁人形)という英語から、ストローマン論法と呼ばれることもあります。
メディアはストローマンが大好き?
政治家や芸能人の軽い失言などがテレビやネットニュースで過剰に取り上げられ、辞任や引退にまで追い込まれる事例が少なくありません。
本当に重大な失態を犯した人が責められるのは仕方のないことですが、藁人形論法による誤った批難を受けている人も少なくありません。
桜田元五輪相が東日本大震災の被災地である石巻市を「いしまきし」と読み間違えたことで、野党やマスコミから震災復興の意識が低いと大きなバッシングを浴びたことがあります。
桜田氏は最終的に漢字を読み間違えたことを陳謝しました。
こうした批判は藁人形論法の典型でしょう。
確かに漢字を読み間違えることは良いことではありません。
しかし、漢字が読めないことと、震災復興への意識や政治家としての資質は無関係です。
「漢字の読み間違え」という単純なミスを、「政治家としての資質」という議論にすり替えて叩いているに過ぎないのです。
そうした単純なストローマンに踊らされ、最終的に桜田氏はオリンピック担当大臣を辞任をしています。(彼の場合は漢字の読み間違えだけが原因ではありませんが・・・)
このように、藁人形論法は日常に溢れています。
相手に使われた時には騙されないように、そして自分でも誤って使ってしまうことがないように、注意する必要があります。
その他、議論をする際に注意すべき点として、悪魔の証明は非常に有名です。
日常会話での使用方法
「お前、何で花子のこと庇うんだよ! もしかして好きなのか!?」
「はいはい。それは藁人形論法だよ」
本サイトで紹介している用語一覧は以下です。