ここでは、日常会話で使える知的な小話と、実際の使用例を紹介します。
リスキーシフトとは
リスキーシフトとは、普段は穏健な考え方をする人でも、大勢の集団の中では、極端な言動に同調しやすくなる、という社会心理学上の現象です。
2017年に、ドナルド・トランプがアメリカの大統領になりましたが、これもリスキーシフトによるものかもしれません。
もし自分1人が大統領を選ぶ立場であったなら、何をしでかすかわからないトランプには、怖くて投票できないでしょう。
しかし、大統領選という大勢の中の1票としてなら「何かが変わるかも」という期待から、安易にトランプに投票してしまうかもしれません。
このように、人の選択は、集団の中で行われる場合と、個人として行われる場合では、変わってしまうこともあるのです。
集団において、危険な選択をしてしまう理由としては、以下のようなものが考えられます。
①集団の中の1人として選択しても、責任が自分以外に分散されるため
②集団の中で他人の目を意識し、危険な選択で成功し、認められたいため
③集団における議論では、力強く過激な意見が説得力を持つため
リスキーシフトは、インターネットの掲示板など、特定の集団が社会から孤立した状況で起こりやすいです。
オウム真理教の信者が山奥に隔離された施設の中で過激化していったことや、人民寺院で918人もの集団自殺が同時に行われたこと、K・K・K(クー・クラックス・クラン)などの白人至上主義団体による黒人の殺戮も、リスキーシフトが要因の1つなのかもしれません。
ネットでは過激な意見が蔓延しているのも、この効果によるものが大きいでしょう。
サイバーカスケード現象とは
リスキーシフトの中でも、特にインターネットを通して、過激な思想を持つ集団が形成されることを、サイバーカスケード現象と呼んでいます。
インターネットは非常に便利で、SNSやブログ、掲示板といった様々な手段で自分の考えを発信したり、逆に情報を取得したりできます。
このようなインターネットの特徴から、広い世界の中でも、同じ思想や考えを持った人のコミュニティを簡単に作ることができます。
そうした集団では、過激で極端な意見が形成されやすくなり、暴走の危険があります。
コーシャスシフトとは
リスキーシフトとは逆に、集団の中での選択が通常より消極的になる場合もあり、コーシャスシフトと呼ばれています。
コーシャス(cautious)は日本語で「注意深い」や「慎重な」という意味です。
大勢で行う会議で何も決まらない場合などは、コーシャスシフトの状態に陥っているかもしれません。
日常会話での使用方法
「赤信号 みんなで渡れば 怖くない」
「まさにリスキーシフトだね」
本サイトで紹介している用語一覧は以下です。