ここでは、日常会話で使える知的な小話と、実際の使用例を紹介します。
リンゲルマン効果とは
リンゲルマン効果とは、フランスの心理学者であるリンゲルマンによって提唱された、人は集団になると力を抜くという心理的な性質です。
リンゲルマンによる実験によると、1人で綱引きをした時の力の入れ方を100%とすると、2人で綱引きをした時は93%、3人で綱引きをした時には85%と、人数が増えるほど力が減少していき、8人の時には49%になってしまったそうです。
集団になればなるほど、他の人が何とかしてくれるはずだ、という手抜きの心理が無意識のうちに働いてしまうのでしょう。
リンゲルマン効果は、集団の規模が大きい場合など、自分の努力の影響が小さく、評価されづらい状況に発生しやすいです。
自分が全力を出しても全体の結果がそこまで変わらない場合や自分への報酬が変わらないとやる気が出なくなるもの仕方ないのかもしれません。
他者との共同作業において人が怠けてしまうことから、社会的手抜きとも言われます。
人間の協力において、1 + 1 = 2 ではないのです。
傍観者効果とは
リンゲルマン効果と似たような心理的な性質として、傍観者効果というものがあります。
傍観者効果とは、自分以外に傍観者がいる場合に、人が積極的な行動を起こさなくなるという心理効果です。
例えば、多くの人が火事の現場を目撃していたにもかかわらず、互いが「誰かが消防車を呼んでいるだろう」と考え、119番への通報が遅れてしまっているような場合、傍観者効果が働いていると言えます。
1964年にニューヨークで実際に起こった婦女殺害事件では、近くにいた38人もの住人が事件を目撃していましたが、1人も警察に通報せず、助けにも入らなかったと言われています。
マスコミは周りの住人の冷たい行動を批判的に報道しましたが、これは傍観者効果が働いていたことによるものでしょう。
仕事への応用
リンゲルマン効果の存在を知らないと、思わぬ失敗をしてしまうことがあります。
例えば、部下に作業を依頼する際に担当者を指定せずに「誰かこの作業やっておいて」と頼んでしまうと危険です。
それぞれの部下が「誰かがやってくれるだろう」「自分がやらなくても平気だろう」と考え、結局誰もその作業をやらないまま放置されてしまうかもしれません。
そうした状態を回避するには担当を名指しして「〇〇さん、この作業をやっておいて」と頼む必要があります。
作業の担当者が1人に固定されるので、傍観者効果やリンゲルマン効果による手抜きが発生せず、100%の力で作業に取り組んでもらえます。
このように、担当者が不明確で、宙に浮きそうな作業があった場合は、早々に1人の担当者を指定してしまうことが重要です。
日常会話での使用方法
「目の前で人が倒れたけど、誰かが救急車を呼んでくれるだろう」
「リンゲルマン効果だ…」
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