背理法:矛盾から「真」を証明する方法とは?(知的な小話212)

ここでは、日常会話で使える知的な小話と、実際の使用例を紹介します。

背理法とは

背理法とは、ある命題が真であることを証明する際に、その命題を偽だと仮定した際に生じる矛盾を導き出すことによって、命題が真だと証明する手法です。

背理法は、以下のような手順で行います。

①「〇〇は△△である」という命題を証明したい

②命題を否定する「〇〇は△△でない」という仮定をする

③「〇〇は△△でない」とした際の矛盾を示す

④「〇〇は△△である」と証明できる


具体的に背理法を使って、ある人が殺人事件の犯人でないことを証明する場合の例を考えてみます。

ある日の夜に、東京で殺人事件が起こったとします。

Aさんは同じ日の犯行が行われた時刻に、北海道にいました。

Aさんが犯人だとすると、北海道にいたという事実と、東京で犯行が行われたという事実に矛盾が生じます。

よって、Aさんを犯人だとすると不整合が生まれることから、Aさんは犯人でないことが証明されます。

「〇〇でないこと」という命題の証明は悪魔の証明とも呼ばれ、一般的には困難です。

背理法は、そうした証明が困難な命題の証明にも役立つ方法です。

背理法で解ける論理クイズ

背理法を実際に使って、論理クイズを解いてみましょう。

殺人事件の犯人として、3人の容疑者がいます。

1人の犯人だけが嘘をつき、残りの2人は本当のことを言っています。

A君「B君が犯人だ」

B君「C君が犯人だ」

C君「僕は犯人じゃない」

さて、犯人は誰でしょうか。


解答は下の方に記載していますので、少し考えてみてください。

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

答えは、B君が犯人です。

B君が犯人でなく、本当のことを言っているとすると、B君を犯人だと言っているA君と、自分は犯人でないと言っているC君がどちらも嘘をついていることになります。

問題の前提から、嘘をついている犯人は1人だけなので、B君が犯人でないとすると矛盾が生じることから、B君が犯人だということがわかります。

日常会話での使用方法

「花子ちゃんが僕のことを好きなら、挨拶を無視しないはずだ。よって花子ちゃんは僕のことを嫌いなのだろう」

「うん、そうだろうね」



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