ここでは、日常会話で使える知的な小話と、実際の使用例を紹介します。
パーキンソンの法則とは
パーキンソンの法則とは、イギリスの歴史学者シリル・パーキンソンによって提唱された、2つの法則です。
第1法則は、仕事の量は完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する、というものです。
例えば、会社で残りの業務時間が3時間だった場合、1時間で終わる作業だけが残っていたとしても、人はその作業を3時間かけてやってしまうというものです。
人間の性質として誰しもこうした傾向を持っているため、部下を能力の限界まで働かせるためには、上司は時間通りに終わるギリギリの仕事を与えてあげる必要があります。
第2法則は「支出の額は、収入の額に達するまで膨張する」というものです。
給料が増えると本来その分貯金が増えるはずなのに、なかなか貯金が増えない、という経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。
仕事についても、支出についても、人間は切羽詰るまで楽な方へと身をゆだねてしまうという弱さを指摘しているのが、この法則です。
課題をぎりぎりになるまで終わらせることのできない学生の様子に似ていることから、スチューデント・シンドロームという言葉もあります。
プロジェクトマネジメントと第1法則
プロジェクトマネジメントを行う際、プロジェクトの管理者は、パーキンソンの第1法則を必ず理解しておくべきです。
プロジェクト管理者が作業者に作業を割り振る際、時間にゆとりのある作業を与えるだけでは、作業者は時間を目いっぱい使ってその作業を行ってしまいます。
これでは、作業者の力を100%引き出せているとは言えず、無駄が生じてしまいます。
そのため、優秀なプロジェクトマネージャーは、各作業者の能力を見極め、時間ギリギリで終わる程度の作業を割り振ります。
そうすることで、各作業者を能力の限界まで効率良く働かせることができ、プロジェクトとして最大の生産性を発揮することができるのです。
作業者側も、時間があるからといってダラダラと作業を先延ばしにしつつ働くのではなく、作業ごとに期限を切って、その期限内に仕事を終わらせることを意識することで、時間を無駄に使わずに仕事が進められます。
財形貯蓄と第2法則
パーキンソンの第2法則により、人はお金があればあるだけの量を消費してしまいます。
財布にいつもより多めのお金があると、金遣いが荒くなってしまうという経験をしたことがある方も多いでしょう。
こうした性質を認識しつつ、お金を貯めるためには、財形貯蓄制度などを利用して、自らお金を使えない状況にしてしまうことが重要です。
給料が口座に振り込まれてしまうと、使えるお金が増えてしまい、消費も同時に増えてしまいます。
そのため、給料の一部を強制的に天引きして貯蓄に回すことで、消費を抑えることができるのです。
パーキンソンの法則からわかる通り、人間は意思の弱い生き物です。
こうした人間が生来持つ弱さそれ自体を克服することは難しいので、弱さを受け入れつつ、プロジェクトマネジメント手法や財形貯蓄など、それに応じた対応をしていくことが重要です。
日常会話での使用方法
「夏休みの宿題ってギリギリにならないとやる気にならないよね」
「パーキンソンの法則だね」
本サイトで紹介している用語一覧は以下です。