アビリーンのパラドックス:集団の意志は誰が決めたもの?(知的な小話104)

ここでは、日常会話で使える知的な小話と、実際の使用例を紹介します。

アビリーンのパラドックスとは

アビリーンのパラドックスとは、ある集団が行動を決める時、それぞれの個人が本来持っている意思とは異なる行動が決定されてしまうことがあるという逆説です。

アメリカの経営学者であるジェリー・B・ハーヴェイは、アビリーンのパラドックスの例として、家族が旅行の行き先を決定する場合を挙げています。

ある夏の日、テキサス州の街で家族が団らんしていました。

誰かが意見の1つとして、テキサス州から53マイルほど離れたアビリーンへの旅行を提案しました。

誰も本心からはその旅行に行きたいとは思っていなかったにも関わらず、互いがそれぞれアビリーンに行きたがっていると思い、誰も反対しなかった結果、アビリーン旅行が決定しました。

実際にアビリーンに行ってみても、非常に暑い上に埃っぽく、楽しいものではありませんでした。

しかし、提案者も含めて実際に旅行に行きたいと思っている人がいなかったのがわかるのは、旅行が終わった後でした。


このように、十分なコミュニケーションができていない集団の中では、構成員がそれぞれ「自分の思考は周りとは異なっている」と考え、集団の決定に対して反対意見を出さないため、集団として誤った結論にたどり着いてしまうことがあります。

集団の中で正しい意思決定をすることは非常に難しいです。

集団心理は過激な思想を生みやすいというリスキーシフトと合わせ、こうしたパラドックスも考慮すると、ナチスやKKKのような通常ではありえない過激な思想を持つ集団が生まれてしまうのも無理はないのかもしれません。

無駄な残業はアビリーンのパラドックス?

注意して避けようとしないと、アビリーンのパラドックスは日常の様々な場面で発生します。

例えば、会社で仕事をしている夜の遅い時間、自分の作業が終わっても、他の皆が残っているからダラダラ会社で時間を過ごしている場合、アビリーンのパラドックスに陥っている可能性があります。

自分だけが作業が終わり、他の人はまだ働いていると感じたとしても、他の人も同じように作業が終わったのに周りに気を使って会社に残っているだけかもしれません。

このように、コミュニケーションが十分に機能してない場合、集団として無駄な行動をしてしまう場合があります。

アビリーンのパラドックスを回避するためには、普段から個人が自分の意見を主張しやすい風通しの良い組織を作ることが重要です。

日常会話での使用方法

「俺たち卒業旅行、アフガニスタンに行くことになったわ!」

「さすがにそれは誰か反対しろよ」

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