ここでは、日常会話で使える知的な小話と、実際の使用例を紹介します。
クレショフ効果とは
クレショフ効果とは、人はそれぞれが無関係な映像でも、並べて表示すると関連付けて認識してしまうという心理学的な現象です。
例えば、新車の展示会では、綺麗な女性がコンパニオンとして車の横に並んでいることが良くあります。
車の性能とコンパニオンの女性は本来ならば無関係のはずですが、横に立っている女性が美人だと、車まで素晴らしいものであるかのように錯覚してしまいます。
このように、人はある映像を同時に見ると、無意識に関連付けて考えてしまうクセがあるのです。
テレビCMで人気の芸能人が起用されるのも、この効果を期待してのことでしょう。
本来ならば宣伝対象の商品と、CMに出ている芸能人は無関係ですが、商品のイメージも芸能人によって引き上げられるのです。
企業が芸能人の不倫などのスキャンダルなどによるイメージの悪化に敏感なのも、商品のイメージも同時に悪化してしまうことを気にしているためです。
似たような心理効果として、対象を評価する際に、その対象の別の特徴によって評価が歪められてしまうというハロー効果があります。
実験による証明
ソ連の映画作家であるレフ・クレショフは、被験者を3つのグループに分け、それぞれ別の映像を見せるという実験を行いました。
グループごとに以下の別の映像を表示し、その後に全てのグループに同じ無表情の俳優の映像を流します。
①スープの入った皿
②棺桶に入った遺体
③ソファに横たわる女性
すると、俳優の映像は全て同じだったにも関わらず、スープの映像を見たグループは俳優はお腹が空いているように感じ、遺体の映像を見たグループは俳優は悲しんでいると感じ、ソファの女性の映像を見たグループは俳優は欲望を持っているように感じたのです。
前に見る映像によって、同じ表情の俳優でも、異なった印象を与えることがわかったのです。
図の男性のイラストは全て同じですが、横に並んでいるイラストによって、それぞれ異なった印象を与えます。
何かを評価する際は、人間にはこうした性質があることを理解した上、誤った判断を下さないように気を付ける必要があります。
また、逆に相手から評価される際も、こうした心理効果によって歪んだ判断をされないよう意識しておくことが大事です。
日常会話での使用方法
「一緒に帰ろうぜ!」
「お前といると俺まで変な奴だと思われるから止めとくわ」
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