ここでは、日常会話で使える知的な小話と、実際の使用例を紹介します。
偽の合意効果とは
偽(ぎ)の合意効果とは、人間が自分の考え方を他の人に投影するという心理学的な傾向のことを指します。
人は自分の意見・信念・好みが、実際よりも一般大衆と同じだと思い込みます。
自分の好きな曲や映画、小説などを、他の人も気に入るはずだと思い、勧めてみても、あまり良い反応が返ってこず、ガッカリしたという経験がある方も多いのではないでしょうか。
こうした場合、偽の合意効果が発生していると言えます。
自分が好きだからといって、他の人もそれを好きとは限りません。
意外に自分の考えは、一般論とはズレている場合も多いので、注意が必要です。
偽の合意効果は、英語をそのまま訳したもので、英語のままフォールス・コンセンサス効果(false:偽の、consensus:合意)と呼ばれることもあります。
実験での証明
アメリカの心理学者であるロスは、学生に対して次のような実験を行いました。
まず、学生に仮装をしてキャンパス内を歩き回るようお願いします。
そして、その依頼を承諾したグループと、拒否したグループに分け、それぞれのグループに「同じことを別の学生に頼んだら、承諾してくれると思うか?」という質問をしました。
その結果、自身が仮装することを承諾した学生のグループでは、6割が「承諾すると思う」と答え、4割が「承諾すると思わない」と答えました。
一方、自身が拒否した学生のグループでは、3割が「承諾すると思う」と答え、7割が「承諾すると思わない」と答えたのです。
どちらのグループも、自分がした回答と同じ答えをする学生が多いと考えています。
このことからも、人は自身の考えを一般的だと誤解しやすいということがわかります。
偽の合意効果は『カイジ』も利用している
漫画『カイジ』の中で、主人公のカイジが言った有名なセリフがあります。
相手の心を読もうと必死に考えるつもりが、気が付けば、自分だったらどうする?、と考えている。つまり、俺がヘビに見えたなら、お前こそがヘビなんだ!
あるゲームでカイジと敵が戦うのですが、敵はカイジを騙そうと必死に思考を巡らせます。
そして、最終的にカイジも自分を騙そうと考えているはずだという結論にたどり着き、その読みを元に罠を仕掛けます。
しかし、カイジは敵がそうした考えに至ることを読み切り、最終的にゲームに勝利します。
敵はカイジを騙そうと考える余り、カイジも自分を騙そうとしているはずだという疑心暗鬼に陥り、最終的には自滅してしまったのです。
これはまさに偽の合意効果の典型的な例でしょう。
日常会話での使用方法
「お前浮気してるだろ!」
「自分がしてるからそう疑うんじゃない?」
本サイトで紹介している用語一覧は以下です。
よくありがちな傾向ですね。気をつけたいです。
ちなみに「日常会話での使用方法」の浮気の疑いによる偽の合意効果なんですが、自分が好きだから他の人も好きになってしまうんじゃないかという考えも含まれると思います!
そういう場合もあるでしょうね。
もちろん、全ての場合で相手が考えていると想像していることが自分の考えの投影となる訳ではありませんね。