ここでは、日常会話で使える知的な小話と、実際の使用例を紹介します。
集合的無意識とは
集合的無意識とは、スイスの心理学者であるユングが提唱した、全人類に普遍的に存在する、個人の経験を超えた精神の領域のことです。
例えば、かつで人類は世界中の各地で様々な文明を築き上げましたが、それぞれの文明は交流が無かったにも関わらず、太陽を崇拝したり自然に母性を感じるなど、共通する文化や宗教を発展させました。
このように、民族や国家、言語を超えて人類が根底に共通して持つ「普遍的な何か」を集合的無意識と呼んでいるのです。
ブーバとキキ
集合的無意識を示す例として良く挙げられるのが、ブーバとキキという実験です。
これはドイツの心理学者であるヴォルフガング・ケーラーによって行われた実験で、被験者に2つの図形を見せ、「名前を付けるならどちらが『ブーバ』でどちらが『キキ』か?」と尋ねるというものです。
あなたならどちらが「ブーバ」でどちらが「キキ」だと思いますか?
恐らく右の赤い図形を「ブーバ」とし、左の黄色い図形を「キキ」としたのではないでしょうか。
実験によると、98%の人がそのように答えることがわかっています。
そして、この実験の面白いところは、この結果は被験者の母国語が何であっても、年齢がいくつであっても変わらないということです。
この結果は、人類は図形や言葉に対して、文化や地域を超えて共通した感覚を先天的に持っていることを示しています。
夢は繋がっている?
少しオカルトチックな話になりますが、こうした集合的無意識の概念から、世界中の人の意識は見えない1か所の領域で繋がっているという考え方もあります。
私たちの意識には「顕在意識」と「潜在意識」が存在します。
顕在意識は普段私たちが思考し、行動している意識可能な部分であり、潜在意識は夢の中のような意識することが不可能な領域です。
当然、顕在意識は各個人でバラバラです。
しかし、中には潜在意識は人類で共通していると考えている人もいます。
例えば平安時代の人々は、夢の中に出てきた人は自分のことが好きで、夢で逢いに来てくれたと考えていました。
普通なら自分が相手のことを好きだから、相手が夢の中に現れたと考えそうなものですが、昔の平安貴族は逆だと考えていたようです。
これは、まさに潜在意識が人と人の間で共通しているという考え方です。
個人の夢が実は無意識で繋がっているかもしれないという考えのもと、こうした思想が生まれたのでしょう。
現代だとストーカーに繋がりそうな考え方ですが、昔の人は想像力が豊かで面白いですね。
日常会話での使用方法
「昨日の夢に出てきたあの子は、きっと僕のことが好きに違いない!」
「平安貴族かよ」
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